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寺田倉庫が天王洲地区でIPコラボのイベント続々、「ブルーピリオド展」など盛況

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寺田倉庫が天王洲地区でIPコラボのイベント続々、「ブルーピリオド展」など盛況

2022年08月29日
 倉庫業の「寺田倉庫株式会社」が、IPやアート、エンタテインメントとの連携を深めている。拠点である天王洲地区に大小さまざまな施設を持つ同社は、従来の倉庫業の枠組みに捉われない、芸術文化発信事業を展開。6月からは、アニメ化もされた人気漫画「ブルーピリオド」の大型展覧会(9月27日まで)、7月からは「鈴木敏夫とジブリ展」(9月7日まで)が開催中だ。コロナ禍直前の2019年に行われた『スター・ウォーズ』の大展覧会も活況を呈した。

 寺田倉庫は1950年創業。映画業界やテレビ業界にとっては、フィルムの保管委託先としてもおなじみの企業だ。「モノだけでなく、価値をお預かりする」という理念を持ち、ワインやアート、フィルムなどのメディア、建築模型などの保管を主業としている。その一方、近年力を注いでいるのが、天王洲地区に持つ倉庫空間を活用したイベントの誘致だ。柴田可那子執行役員(事業開発グループ サブリーダー イベントプロデュースチームリーダー)によれば「数ヶ月間にわたって開催する大型イベントから、数時間のものまで規模はさまざまですが、年間300件ほどご利用頂いています」という。昨年は倉庫を活用して映画のセットのような演出で人気を博したバンクシーの展覧会も開催。音楽アーティスト、IT企業やファッションブランドなどからもイベント開催施設として重宝されている。(以下の写真は施設の一部)


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 柴田氏は、「弊社は保管業だけでなく、不動産として施設のお貸し出しもしています。モノをお預かりするだけでなく、そこで“コト”が起きることで、お客さまに感動して頂きたいです」と話す。この考えのもと、2010年代から倉庫でのイベント開催を行ってきたが、ターニングポイントとなったのは2017年1~4月に開催されたデヴィッド・ボウイの大回顧展だ。「ちょうどSNSの利用も一般に浸透した頃で、『寺田倉庫でこんなイベントができるんだ』と話題となり、IPをお持ちの会社やブランドから多くのお問い合わせを頂くようになりました」(柴田氏)という。2019年8月から行われた『スター・ウォーズ』展覧会の頃にはスペースも不足し始めたため、新たに倉庫をイベント用にリニューアルするなどし、現在天王洲地区でイベントに活用できる施設は7つまで拡大した。寺田倉庫のフェイスブックは2万4千人以上、インスタグラムも1万1千人以上がフォローしており、一般の人からも多く支持されている様子が窺える。

 寺田倉庫でイベントを行う魅力は何なのか。柴田氏は、倉庫という独特の環境が好評を博していると話す。「広々とした空間がクライアントや主催者の想像をかきたてるようです。倉庫空間をむき出しで利用することもできれば、隠すこともできる。そのイベントの特徴に合わせて色々な表現ができる幅があるのです」。

 また、天王洲地区ならではの好条件も後押しする。浜松町駅からモノレールで一駅、品川駅からタクシーですぐ、渋谷駅からも埼京線(新木場行き)で15分ほどと、実はアクセスの良い立地にありながら、運河に囲まれた非日常的な街並みが広がっており、イベントに訪れた人たちの気持ちを高揚させる効果が期待できる。寺田倉庫が持つイベント用の7施設は半径約200m内にあり、複数の施設を併用し、客を回遊させながら天王洲地区全体でイベントを盛り上げることが可能だ。6施設を活用して盛大に実施したITカンファレンスもあったという。


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天王洲地区の寺田倉庫の施設(太字がイベント用施設)


 現在開催中の「ブルーピリオド展~アートって、才能か?」も、天王洲地区を挙げて様々な企画が行われている。美術を題材にした漫画「ブルーピリオド」の世界観に沿って、展覧会メイン会場の「寺田倉庫G1ビル」では、作品の魅力のみならず、気軽に絵画の世界に触れられる仕掛けが施され、週末は行列ができる盛況になっている。さらに、寺田倉庫が運営する画材ラボ「PIGMENT TOKYO」では、参加者が自分だけの青色の絵の具を作るワークショップを開催。作成した青は展覧会場で展示される。同じく寺田倉庫が運営するカフェ「WHAT CAFE」では、作品とのコラボレーションメニューを提供中だ。また、天王洲の街のいたるところで、漫画の中に登場する印象的なセリフのパネルが張り出され、撮影ポイントとして楽しめるようになっている。

 こういった取り組みの積み重ねにより、人口1700人ほど、約22ヘクタールの天王洲地区ながら、寺田倉庫のイベントスペースには年間で累計30万人ほどが訪れるようになり、文化の発信地として存在感が高まりつつある。天王洲地区で年数回開催される大型イベント「天王洲キャナルフェス」(主催:一般社団法人 天王洲・キャナルサイド活性化協会)の運営にも参画しており、自治体や近隣企業と連携できる関係を築いている点も強みだ。

 エンタメ業界内でさらに認知度を高めていきたい考えであり、柴田氏は「会場単体だけでなく、周辺を含めて相乗効果を生み出せるメリットがあります。いかようにもイベントの幅を広げられるので、そこを私たちは全力でサポートさせて頂きます。老舗でありながらチャレンジ精神を持った会社なので、ぜひ面白いことを一緒にやりたいです」とアピールする。(終)


「ブルーピリオド展~アートって、才能か?」の様子(会場:G1倉庫)

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「ブルーピリオド展」入口

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作中に登場した絵画の実物大が展示

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倉庫の広さを活用したユニークな展示

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多くの人が持つ絵画への疑問を解説するコーナーも

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実際にデッサンに挑戦できるスペース

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作中の1シーンを再現、登場人物たちが描いていた自画像を見られる

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名シーンを透明のアクリル板に印刷、自分も作品の中に入り込める

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原作者・山口つばさの軌跡を知れるスペースも

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グッズも充実

(C)山口つばさ/講談社/ブルーピリオド展製作委員会


取材・文 平池由典


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