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渋谷のTSUTAYAにVHSコーナー新設、若者にも人気

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渋谷のTSUTAYAにVHSコーナー新設、若者にも人気

2020年10月12日
充実の6000タイトル、渋谷ツタヤにVHSコーナー誕生.jpg


 渋谷にあるTSUTAYAの旗艦店「SHIBUYA TSUTAYA」(渋谷店)の映像レンタルフロア(4、5階)が大幅にリニューアルした。在庫数を従来の約12万本から20万本に一挙拡大し、もともと充実していた品揃えをさらに強化。運営する蔦屋書店は同店舗を「日本最大級の映画ミュージアム」と謳う。

 今回の店舗刷新の目玉の1つは、VHSビデオテープコーナーの新設だ。日本ではVHSの再生機の生産は2016年に終了しているが、いまでもファンは多く、渋谷店では常に一定のレンタル需要がある。ソフトだけでなく、2台ある貸し出し用の再生機もフル稼働の状態だった。そこで、これまでジャンルごとに点在していたVHSテープを、リニューアルを機に新設コーナーに集約。他店舗にあったものも取り寄せ、従来の倍以上となる6000タイトル、8000本のVHSテープを取り揃えた。


VHSコーナー.jpg
懐かしの人気作から貴重な作品まで勢ぞろい

 このコーナーの企画・選定を担当したのは、同店スタッフの横山未来氏。弱冠27歳ながら筋金入りの映画好きで、「趣味の延長」(横山氏)という独自目線を取り入れながら作品をラインナップした。『南部の唄』、『ハイティーン・ブギ』、『伊賀野カバ丸』といったDVD化されていない貴重な作品も多く、訪れた客から「売ってほしい」との声が寄せられることもあるという。

 映像レンタルフロアは2日間の改装期間を経て、9月16日にプレオープン、翌17日に本格オープンした。VHSコーナーは早速SNSでも話題となり、多くの人が足を運んでいる。特徴的なのは、VHSに慣れ親しんだ中年以上だけでなく、リアルタイムでは触れていない若い客も多いことだ。横山氏は、「若い人が面白がって来てくれています。マイナーな作品を見て喜んでいる姿を見た時は嬉しかったです。最近では見たことがないほど多くのお客さんがいらっしゃっています」と、その盛況ぶりに笑顔を見せる。2台だった貸し出し用の再生機(最大7泊、税別910円)は10台に増強したが、「それでも足りないかもしれません」という。


迷路のような店内で新たな作品との出会いを創出

 今回のリニューアルでは、VHSコーナーだけでなくフロア全体のレイアウトを大きく変更した。8万本の在庫数増に対応するため、陳列用の棚は2m35cmの高いものに入れ替え、目移りするほど多くの作品が並べられている。また、「お客さんに新しい作品に出会ってもらいたい」という想いのもと、あえて迷路のような店内のレイアウト(5階)を意識し、フロア全体の回遊性向上を図っている。作品を隅々までじっくり見たい客からは「ここに泊まりたい」という声も挙がっているという。

 一方、今まで別フロアに分かれていたアニメ(および特撮)のサントラや映像作品は、全て4階に集約。アニメファンがお目当ての商品を1つのフロアで探し当てられるよう、迷路のような5階とは打って変わり、利便性を重視した。


5階は迷路のようなレイアウト.jpg
5階は迷路のようなレイアウト


クリエイターが薦める作品コーナーを新たに設置

 客にオススメするタイトルも、従来とは異なるアプローチを試みている。一般的な、店舗スタッフ推奨のコーナー作りではなく、著名なクリエイターやインフルエンサーが独自で作るスペースを新設。リニューアル後第1弾では、チャンネル登録者数18万人を超える(10月1日現在)家呑み女性ユーチューバー「酒村ゆっけ」とコラボし、お酒好きならではの視点で作品を選出。 “酒は飲んでも飲まれるな” というくくりで『テッド』や『ハングオーバー!』を紹介するなど、「店舗スタッフや配給会社の人とは異なる選び方」(広報・大下裕子氏)でコーナーを作った。酒村ゆっけが実際に渋谷店を訪れ、作品を選ぶだけでなく手書きのPOPを飾るなどし、本人による手作り感溢れるユニークな空間に仕上がった。

 そのほかにも、映像レンタルフロアは様々なアーティストの表現の場として活用していく。9月18日から公開中の映画『Daughters』とコラボしたコーナーでは、主演の三吉彩花と津田肇監督が、撮影中に聴いていた音楽や影響を受けた映画を紹介した。ニッチなところでは、ハンドメイドの通販サイト「minne」とコラボしたコーナーで、物づくりに携わる人が喜びそうな作品をピックアップしている。また、前述のVHSコーナーを「渋谷フィルムコレクション」と銘打ち、横幅7mの巨大なキービジュアルを設置。このアートを、著名なイラストレーターであるヒロ杉山氏が率いる「エンライトメント」が担当しており、今後も新進気鋭のアーティストが手掛けるアートの場として提供していく。


渋谷の映画館で上映する作品の関連コーナーも

 外部とのコラボはクリエイターだけに留まらない。渋谷の映画館(アップリンク渋谷、シアター・イメージフォーラム、渋谷HUMAXシネマ、ヒューマントラストシネマ渋谷、Bunkamuraル・シネマ、ホワイトシネクイント、ユーロスペース)と連携し、上映する作品の関連作品を集めたコーナーも設けた。広報の大下氏は「渋谷に元気でいてほしい。街の仲間と色々やっていきたいです」と話す。今後も様々な企画を打ち出し、実店舗ならでは新たな魅力を打ち出していく考えだ。(了)


取材・文 平池由典

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