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地域活性化事業の拡大続くポニーキャニオン、村多正俊エリアアライアンス部部長に聞く

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地域活性化事業の拡大続くポニーキャニオン、村多正俊エリアアライアンス部部長に聞く

2020年05月11日

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ポニーキャニオン 村多氏



 ポニーキャニオンは、新規事業の一環として地域活性化事業に力を入れている。2015年に開始し、2020年度で6年目に入った。同事業の初年度売上は5千万円だったが、2019年度は約5億円と10倍まで膨れ上がり、急速に事業規模を拡大している。村多正俊経営戦略本部エリアアライアンス部部長に、現在の状況について聞いた――。



シティプロモーション全般を手掛ける

 エリアアライアンス部のミッションは、全国各地の自治体などから地域プロモーション業務を受託し、ポニーキャニオンが培ってきたエンターテイメントのノウハウを駆使しながら地域活性化の一翼を担うことだ。2019年度は44件の業務を受託。関係のある自治体の数は累計170にのぼり、着実にポニーキャニオンの名を各地域で広めてきた。

 代表的な事業の一つが、3年で1億6千万円の予算がついた、松山市の道後温泉本館保存修理工事を活用した観光資源化事業だ。2019年1月から約6年にわたる保存修理工事中も観光客をつなぎとめるという重大な役割を担う。この事業では、「火の鳥」と道後温泉のコラボレーションを実現させ、本館へのプロジェクションマッピングや、アニメ制作、工事中の仮屋を囲う幕にラッピングを施すなど、工事中しかできないPR施策を次々と打ち出し、併せて首都圏でのPRも手掛けている。

 村多氏は「松山市は、工事が始まってしまうと入れ込み観光客数が通年の50%以下になってしまうと想定していたそうですが、マイナス5%(※新型コロナ影響前)で推移しているそうです。野志克仁市長からはご評価頂いております」と話す。

 ほかにも、町田市のシティプロモーション支援業務では、アニメーションや楽曲を制作し、様々なPRやイベントを実施。草加市の市制60周年記念事業では、エンタメ性の高いイベントを企画運営したほか、アニメ制作や奥華子の主題歌制作を行い、街頭ビジョンなど様々なシーンで活用している。

 「以前は動画制作がメインの受託案件でしたが、今は主としてまちのPR全般(シティープロモーション)を手掛けるようシフトしています」と村多氏。自治体の業務を受ける企業を決定するコンペでは、当初と比較しチーム勝率が落ちていると明かすが、「身の丈にあった事業に応札していた以前と比べて、今はより大きな規模の案件に応札しています。有力な広告代理店が数年にわたり手掛けてきた案件にも挑んでいるので失注もままあります」と、新たな領域にも臆せず足を踏み込む姿勢を語る。

 そんなアクションを経て今年度から受託が叶った事業として、2020年度岐阜県の首都圏におけるPR業務を担うこととなる(すでにポニーキャニオンでは桑名市、沼津市の首都圏PRを担っている)。こういった実績は口コミで広がり、コンペを通さずに業務委託を受ける「随意契約」も増加。2019年度に受託した業務も多くが随意契約で、「県の仕事を手掛けたら、その市町村からもお話を頂くことがあります」と語る。



道後温泉本館のプロジェクションマッピング.jpg
道後温泉本館のプロジェクションマッピング




地域法人、自治体との人材交流も

 事業を進める中で地域法人との連携もより深まっている。その一例が18年9月から続く「OKB大垣共立銀行」との業務提携だ。「当時頭取だった土屋嶢さんがエンタメに理解がある方で提携することになり、今までに同行からの出向者2名を弊社に受け入れています。すでに1名が同行に戻っており、弊社と緊密に連携し中部エリアの活性化に向けて共に取り組んでいきます」という。

 また、自治体との人材の交流は、ポニーキャニオンからの出向という形でも始まっており、都市から地方への移住を推進する「一般社団法人 移住・交流推進機構」(JOIN)に1名が統括参事として出向中。同機構には各自治体から若手の人材が集結しており、「出向しているスタッフは、弊社で音楽・映像・映画の宣伝畑を歩き、広報グループも立ち上げるなど情報発信ノウハウを熟知した人物です。どうすればまちの魅力が伝わるかを彼らにレクチャーする立場で参画しています」という。なお、JOINからもインターンがポニーキャニオンに1か月間参加する取り組みを行ったばかりだ。

 村多氏は、「エンターテイメントのコンテンツ企画制作やPRノウハウを、世のため、まちのために活用する。これはほかの業務では味わえません」とこの仕事の醍醐味を語る。2019年度で印象深かった業務として、馬事公苑などを擁する世田谷区から受諾した映像制作・デジタルアーカイブ化事業を挙げる。1964年にはバレーボール、レスリング、馬術等の会場として、また2021年では馬術競技のほか、アメリカ合衆国のキャンプ地にもなっており、オリンピックとの所縁が深い。そんなまちのストーリーを次世代に認知継承させる教材を制作することが事業内容だった。1964年当時、実際にオリンピックに携わった人物のインタビュー映像を制作、当時の写真のデジタルアーカイブ化を行った。村多氏自身が住む世田谷区の魅力を改めて知る機会となり「感動的でした」と振り返る。映像はオリパラ気運醸成教材として、今後区内小中学校に配布される予定だ。

 村多氏の感じているやりがいは若い世代にも伝わる模様で、「僕は成城大学経済学部で不定期の講演を行っていますが、エンタメ見地の地域活性化の話は学生たちにすごく響きます。実際、この事業を始めてから、弊部に来たいという人が増えています。次世代の人たちが、次世代のやり方で地域活性化をしていくことを、僕らが継承していければと思っています」と使命感を示す。

 また、自治体だけでなく、最近では企業のプロモーションにも着手している。例えば、日本旅行の企業CM、佐世保市の老舗百貨店「佐世保玉屋」のブランディング事業や、姫路市の「神姫バス」のブランティング・PR事業にも携わった。「企業プロモにも力を入れていきます。まだ明言できませんが、大きな事業も進めています」という。(了)

※この記事の取材は4月初頭に行いました。


取材・文 平池 由典

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