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東宝に新部署「ゴジラルーム」発足、大田圭二取締役 “東宝が本気でゴジラに取り組む”

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東宝に新部署「ゴジラルーム」発足、大田圭二取締役 “東宝が本気でゴジラに取り組む”

2019年11月01日

東宝・大田取締役.jpg



 東宝は、ゴジラビジネスに特化した部署「ゴジラルーム」を2019年10月1日付で新設した。組織の名称に“ゴジラ”が使用されるのは同社史上初となる。

 10年間の休眠状態を経て、2014年公開のハリウッド版『GODZILLA』で大復活を果たしたゴジラ。2016年公開の『シン・ゴジラ』は興収82億5千万円を記録するメガヒットとなり、ファン層の拡大に大きく寄与した。それに伴い、ゴジラに関連したビジネスの領域も年々広がりを見せている。

 映像事業部「映像企画室」の下に設けられたゴジラルームは、そんなゴジラに関わる全ての事業を統括する重要な役割を担う。1954年に第1作『ゴジラ』が産声をあげてから65周年。この記念の年にスタートするゴジラルームは、今後どのように活動していくのか。東宝の取締役(映像事業・音楽事業担当)であり、ゴジラビジネスを指揮するチーフ・ゴジラ・オフィサーの大田圭二氏(=写真)に聞いた――。


ブランドマネジメントが必須


 大田氏は、ゴジラ関連の事業を推進させていくにあたり、専門部署の設立が欠かせない理由を次のように説明する。


 「近年ゴジラのビジネスは、映画はもちろんですが、商品化、イベントなども含めて非常に大きくなっています。様々な企業や自治体からもオファーを頂くことがかなり増えています。海外での商品化権も、かつてはワーナー・ブラザースが担当していましたが、2018年からは東宝が担当し、自社で手掛けるようになりました。ゴジラに携わる人が非常に増えてきたのです。ゴジラビジネスが大きくなるわけですから、それはすごく良いことです。ただ、利用・使用の仕方によっては、ゴジラのブランド毀損のリスク、価値を下げてしまうリスクもこれからはあり得ると思っています。10月1日に新設したゴジラルームでは、ブランドのマネジメントとコントロールをしっかりとやっていく。これが最大の役割です」


 正体不明の「シン・ゴジラ」から、可愛らしい「ちびゴジラ」まで、ゴジラのキャラクターは造形も性格も多岐にわたる。これらのゴジラが、様々な分野でビジネス展開される際は、当然ながらゴジラのIP運用に関する一定の方針が必要となる。すでに、東宝社内ではゴジラに関する取り決めを行い、「ゴジラ憲章」としてブランドマネジメントに活用し始めているという。


 「ブランドの約束と原則をきっちり決めています。ゴジラ憲章の詳細は明かせませんが、“ゴジラは圧倒的な生命力であなたの魂を揺さぶります”という約束のもと、物語性、威厳、強さ、挑戦、ワクワクドキドキという5つの原則を設けています。映画も商品もイベントも、この中の何かの要素を満たしているかどうかを基準として動いています。ここから大きく外れたことを行えばブランドの毀損になる可能性があります。一気に信頼・信用を失う恐れがありますから、ゴジラ憲章はとても重要なものなのです」


 このゴジラビジネスのコントロールタワーとなる新部署には、社内・グループ会社から5人が配属された。ゴジラルームリーダーを務めるのは吉川哲矢氏だ。東宝子会社のTOHOマーケティングに所属していた吉川氏は、数年前に映像事業部に配属され、このほどゴジラルームリーダーに抜擢された。映像企画室長の高橋亜希人氏とともに、ゴジラルームを牽引していくことになる。


 「吉川は主に宣伝タイアップを担当してきました。最近では『天気の子』のタイアップCMを仕掛けたり、『シン・ゴジラ』や『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』のタイアップも彼が中心になって行ってきました。非常に優秀な人材ですので、ゴジラルームのリーダーを務めてもらいます」


TOHOマーケの中にも発足


 東宝は、5年前の2014年10月に「ゴジコン(ゴジラ戦略会議)」を設立し、社内の各部署から20数人が参加。この会議から様々なアイデアが生まれ、ユニークなビジネスを実現させてきた。新設のゴジラルームとの業務の棲み分けはどうなるのだろうか。



 「ゴジコンは社内を横断した組織です。2014年夏にハリウッド版『GODZILLA』が公開されたのち、島谷(能成)社長から“全社的な組織を作るように”という号令がかかり、メンバーが集まって10月に作られました。異例の早さだったと思いますが、社長の決断は正解でした。このゴジコンから生まれた初の企画が新宿東宝ビルの“ゴジラヘッド”です。ほかにも、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの『ゴジラ・ザ・リアル4-D』や『ゴジラ対ヱヴァンゲリオン・リアル4-D』、『ゴジラ検定』などが生まれており、非常に優秀な機関になっています。ただ、ゴジコンに参加しているメンバーはそれぞれ本業があり、ゴジコンは兼務という形だったので、専任組織を作る必要が出てきました。それだけビジネスが大きくなってきたということです。今もゴジコンは月1回、分科会は週に何度も行っているので、今後は、ゴジコンの運営・統括をゴジラルームが担うことになります。ゴジコンについては、(映像企画室長の)高橋がディレクターとして全体を俯瞰して見る立場であり、吉川がプロジェクトリーダーを務めます。専任がいることで、これまで以上に様々なことが実現できる体制になったと思います」


 ゴジラ関連の組織改編という点では、同じ10月1日、東宝グループのマーケティングを担う総合広告代理店「TOHOマーケティング」でも変化があった。大田氏は、ここも重要なポイントであることを強調する。


 「TOHOマーケティングの北海道、中部、関西、九州の各営業所にもゴジラルームが発足しました。東宝グループの中で、映画館のTOHOシネマズをのぞき、全国展開しているのはTOHOマーケティングだけです。各営業所は地元の媒体や企業と非常に密にしており、情報も入りやすい。我々は、ゴジラビジネスをTOHOマーケティングも含めて全国的に展開していくつもりです。ライセンス活動も一緒にやっていきます。情報をお互いにシェアしながら、先手先手を打っていこうということです。ゴジラに関わる人員は、本社のゴジラルームが5人。TOHOマーケティングが8人。ゴジコンが22人。これは、ゴジラ映画を作っている人数をのぞいています。これだけのメンバーが、ゴジラビジネスを大きくするために動いていくということです。東宝がこれまで以上に本気でゴジラに取り組むという意思表示だと捉えてください」



続きは、文化通信ジャーナル2019年11月号に掲載。


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