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円谷プロダクション 塚越隆行代表取締役会長兼CEO “ブランデッドスタジオになれる可能性が1番あるの

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円谷プロダクション 塚越隆行代表取締役会長兼CEO “ブランデッドスタジオになれる可能性が1番あるのは円谷”

2019年10月03日

円谷プロ・塚越会長兼CEO.jpg



 庵野秀明企画・脚本、樋口真嗣監督によるウルトラマン映画『シン・ウルトラマン』の製作を発表し、大きな話題となった円谷プロダクション。今年12月には同社史上最大規模のイベント「TSUBURAYA CONVENTION」を東京ドームシティで初開催予定など、次々とビッグプロジェクトを立ち上げ、目が離せない存在になっている。

 代表取締役会長 兼 CEOの塚越隆行氏(=写真)は、約2年前の2017年8月に円谷プロに入社。前職であるウォルト・ディズニー・ジャパンでスタジオ部門のゼネラルマネージャーなどを歴任した経験を生かし、円谷プロを「制作プロダクション」から、さらにビジネス領域を広げる「スタジオ」に進化させるために心血を注いできた。一連のプロジェクトの発表は、いよいよそのスタジオ化構想が表面化してきた形だ。

 「僕は作品至上主義なので、経営者の自分が前に出て色々言うのは本来好きでない」と話す塚越氏だが、円谷プロが目指す方向性、プロジェクトについては「もっともっと知ってもらいたい」という強い想いを持ち、本誌のインタビューに応じた――。


ブランデッドスタジオに

 塚越氏は、ディズニーで主にホームビデオ事業に携わったのち、2010年からは映画をはじめとしたスタジオ部門全体を統括するゼネラルマネージャーなどを務めあげた。その塚越氏が、円谷プロダクションの社長(現在は会長)になるというニュースは、業界でも驚きを持って受け止められた。この時の経緯を次のように説明する。


 「僕はディズニーの時代からスタジオジブリと仲良くさせてもらい、ジブリの鈴木敏夫さんを通じて糸井重里さんと出会い、親交を深めてきました。糸井さんは、フィールズの山本(英俊会長)さんとも仲が良かったので、今から20年以上前から3人でよく会っていたのです。その山本さんのフィールズが、2010年に円谷プロの株の51%を取得しました。山本さんは、円谷プロを『ディズニーのようにしたい』という思いがあり、それからは僕にアドバイスを求められることもありました。ディズニーではやりがいのある仕事を任せられていましたから、山本さんに何度かお誘い頂いた時も即断というわけにはいかなかったですが、アメリカで作った作品を日本で紹介していくという従来のビジネスとは逆に、日本で作ったコンテンツを世界に持っていくという円谷のビジネスも非常にやりがいのある仕事ではないかと思いましてね。僕のサラリーマン人生で、日本のコンテンツ業界に貢献できるラストチャンスだと思って決断しました」


 映画の公開を起点に、魅力的なIPを活用して様々な領域にビジネスを拡大するディズニーの手法は、映像コンテンツビジネスの理想形のひとつと言えるだろう。そのディズニーの中心部にいた塚越氏は、山本氏が持つ“円谷プロをディズニーのようにしたい”という真意をこのように解釈する。


 「これは『ブランデッドスタジオ』だと思っています。洋画メジャースタジオの多くは作品主体ですよね。色々な種類の映像作品を作っている。一方ディズニーは、フランチャイズや、その世界観を作っていく。最近のライブアクション(実写)でも、『アラジン』のようにアニメーションから始まったフランチャイズを実写にしたりだとか。ディズニー、ピクサー、スター・ウォーズ、マーベルといったブランドのもとで、ストーリーが展開し、その世界観を広げ、深掘りする手法をとっています。ウルトラマンは、それが可能なコンテンツです。日本のIPの会社の中で、ブランデッドスタジオになれる可能性が1番あるのは円谷だと思います。ですから、鈴木さん、糸井さん、山本さんとの出会いには運命的なものを感じます」



コアファンと新たなファン

 では、塚越氏は円谷プロの今後の道筋について、どのようなプランを頭の中に描いているのだろうか。


 「僕の仕事は、大きく分けると2つあると思っています、ひとつは、60年近い歴史を持っている円谷プロダクションを支えてきた特撮やウルトラマンをはじめとした作品群と、そのファンを大事にしていくこと。もうひとつは、円谷プロが作ってきたお話を好きになってくれる人をもっともっと増やしていくこと。これが大きな仕事だと思います。やり方は2つあります。ひとつは、過去の作品のリブートやリメイク、スピンオフを作ること。古い作品をそのまま理解してもらうことも重要ですが、僕らが持っている作品を新たに理解してもらい、資産を最大限利用して楽しんで頂くことがひとつです。庵野さんと樋口さんにお願いした『シン・ウルトラマン』は、過去の作品のリブートです。そしてもうひとつは、テレビ東京で放送している(TVシリーズの)ウルトラマンがどうなっていくか。これは、いま放送している『ウルトラマンタイガ』の次がどうなるかというよりも、その先のことですね。これはもう少し時間がかかるので今日の時点ではお話しできませんが、時期がくればご説明します」



「かいじゅうのすみか」絵本から

 この基本的な考え方のもと、円谷プロダクションは最近、新しいプロジェクトを次々と開始している。例えば、ウルトラマンを好きになる入口として、未就学児を対象にしたテレビ番組「かいじゅうステップ」を9月27日からEテレで放送開始する。
 一方で、ウルトラマンのヴィランズ(悪役)を集めた「DARKNESS HEELS(ダークネスヒールズ)」は、ライブイベントや2・5次元舞台から展開を始め、「コミック化、アニメ化も検討している」(塚越氏)というコンテンツで、主に若い女性層から熱い視線が注がれている。2000年代にウルトラシリーズに熱中し、今は20~30代になった層に対しては、当時人気を集めたウルトラマンティガ、ダイナ、ガイアの魅力を発信していく「TDGプロジェクト」を発動させ、様々な展開を行っている。


 新旧の作品を有効に活用しながら、まさに全方位に向かってウルトラマンのコンテンツを繰り出しているのだ。
 塚越氏は、そんな数ある今年の円谷プロの施策の中でも、特に絵本の「かいじゅうのすみか」と、イベント「TSUBURAYA CONVENTION」(ツブコン)の2つのプロジェクトを、今回のインタビューで広く知ってもらいたいと念押しする。



 「うちは、ウルトラマンと、もうひとつのスターが怪獣です。ユニークな怪獣たちがいて、出自を持っている。子どもたちがウルトラマンのテレビ番組を見て感じていることは、ステレオタイプに言ってしまうと『怪獣は悪いやつだ。そして悪い怪獣をやっつけるウルトラマンはかっこいい』ということでしょう。
 でも、僕としては、円谷が紡いできている怪獣たちをちゃんと紹介していきたいと思っています。全てはストーリー作り、ブランデッドスタジオの考え方です。そのコンセプトをちゃんと紹介するために、まずは絵本の『かいじゅうのすみか』を作ろうと考えました。
 設定はこうです。怪獣たちが心穏やかに住んでいる島がある。しかし、地球、地上、私たちの住んでいる社会で、公害問題などアンバランスが起きると、怪獣たちが住む世界のポータルが開いてしまい、そこから怪獣が現れる。ウルトラマンは、人間のために仕方なく怪獣を鎮魂させる。この設定をもとに、絵本では逆に、ポータルを通じて、子どもが怪獣の世界に入り込んでしまった状況を描きます。まず『絵本』を刊行する理由は、子どもにも大人にも手にとってもらうことでき、しかもイマジネーションを働かせることができるからです。ですから、言葉よりも絵が先行しています。この絵本を起点として、11月には東京ドームシティを会場に『かいじゅうのすみか』の体感エンターテイメントを開催します。さらにその後はVR化も決まっています。ゲームもあるかもしれない。『かいじゅうのすみか』からスピンオフする怪獣の話も出てくるかもしれない。これをディズニー流に言えば、フランチャイズを作っていく、という発想だと思います」


続きは、文化通信ジャーナル2019年10月号に掲載。

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