東映 村松秀信取締役に2016年の配給作品を聞く
2016年03月15日
2016年は巻き返す――2015年は累計興収109億円でした。まずはその総括をお願いします。村松 2000年以降では5番目に低い実績でした。2000年代前半は84億円や91億円の時もありましたが、2009年頃から数字が上がり、160~170億円を行ったり来たりしていましたから。2015年は『ドラゴンボールZ 復活の「F」』の37億円という数字があって、109億円まで持ち上げましたが、それが無ければさらに厳しい結果でした。原因は、これまで好調だったアニメや戦隊・ライダーの数字が伸び悩んだことです。しかし、最近は若干それらの数字が戻りつつあるので、2016年は巻き返していけるのではないかと思います。
――実写映画の方はいかがでしたか。村松 昨年も一昨年も、実写映画は色々な挑戦的な作品を出しましたが、どれもヒットに恵まれませんでした。近年で年間興収が好調だった年も、アニメや戦隊・ライダーが押し上げた結果で、実写では『相棒』シリーズなど一部の作品をのぞくと低迷が続いている状況です。2年前に須藤(泰司)が企画製作部長になって立て直しを一生懸命やっていますが、そんなに急に変わるわけではありません。しかし、今年は彼が企画した自社企画作品『スキャナー 記憶のカケラをよむ男』や『ぼくのおじさん』が出てくるので、おおいに期待しています。全体的に作品も揃ってきたので、今年は従来の160億円を超えて、200億円を狙えるのではないかと思います。
「挑戦」と「期待作」――その2016年のラインナップですが、今回の編成の特徴は何でしょうか。
村松 東映として色々な作品にチャレンジする「挑戦」の部分と、従来のTVドラマの映画化やアニメーションなどの「期待作」の両方を融合した番組編成をしたいと思っていました。
まず「期待作」で言えば、1月30日に公開した『さらば あぶない刑事』が、我々の期待通りの20億円を狙えるぐらいの数字で推移してくれています(2月初旬時点)。そして今年は夏休みに『ONE PIECE FILM GOLD(ワンピースフィルム GOLD)』があります。まだ発表できませんが、今までと違った上映形態を考えており、公開時期をこれまでの冬休みから夏休みに変えるので、前作(12年)の68億円を超える興収を狙います。
「挑戦」作品としては、先ほど申し上げた須藤部長による企画でゴールデンウィークに公開する『スキャナー』があります。野村萬斎さんが時代劇ではなく初めて現代劇に出られる作品で、宮迫(博之)さんとのバディものです。あとは、11月に公開する松田龍平さん主演の『ぼくのおじさん』。北杜夫さんの原作を実写化するものです。これらチャレンジ的な作品も含めて、今年は面白い番組編成になったと思います。
『ワンピース』は夏休み公開――『ワンピースフィルム GOLD』は、なぜ従来の冬休み公開から夏休みに変えたのですか。
村松 その前に、なぜ前作まで冬休み公開にしていたのかと言えば、以前の映画シリーズが原作ファンを十分に取り込めていないという反省がありました。「原作ファンをとりにいくにはどうしたらいいか」と考え、みんなが休みになる冬休みの時期がいいであろうと。
続きは、文化通信ジャーナル2016年3月号に掲載。