閲覧中のページ:トップ > 文化通信バラエティ > インタビュー >

TVer開始で注目のデジタルテレビ広告/Videology日本コマーシャルディレクター マイク・ダン

インタビュー

最新記事

TVer開始で注目のデジタルテレビ広告/Videology日本コマーシャルディレクター マイク・ダンブロジオ氏に聞く

2015年12月16日


――日本の広告マーケットが健全に成長するために鍵となる要素は何でしょうか。

マイク 熱意と投資とコミットメントです。広告主や代理店が実際にオンラインでターゲットした層に広告を配信したいと思うならば、強い熱意が必要です。しかしながら、クオリティの低いコンテンツしかない、データも少なくまたコストも高いという状況の中で熱意を持とうとするのは容易なことではないでしょう。また、プレミアム媒体や放送局の熱意も必要となってきます。簡単な道のりではないと言えます。今までのやり方をいくつか変えなければならないし、最終目標に対して強い熱意を持たなければ、道のりは耐え難いものとなります。広告主が投資として取り組むべきは、テレビとVODの取引方法の見方を変えることです。先に申し上げましたが、イギリス市場がうまくいくきっかけとなったのはVODがテレビ取引の一部だとみなされたからです。放送局からの投資は最適な人材を配置することと、新しいテクノロジーを導入することです。もちろん著作権を確保することも意味します。私はこの市場における著作権の問題については、日本の状況がイギリスより数年遅れているだけではなく、はるかに複雑だと感じています。放送局からのコミットメントは、自分自身の恐怖と向き合い販売方法が変わるという革命を容認することだと考えます。これについては非常に優れた事例がイギリスにあります。Thinkboxというテレビコマーシャルのマーケティング機関では、VODを使うことでテレビ視聴も伸びたという結果が出ています。広告主や放送局、媒体が自身のデータを集める投資をすることが良い結果を生み出すのです。

――日本市場がイギリス市場のようになるにはどれくらいの時間が必要だと思いますか?

マイク 最終的に何を達成したいかによります。イギリスではプレミアム在庫が出揃って代理店が予算を配分するのに1年くらいかかりました。使用できるデータにも限りがありましたし、1年経っても大きな変化は特に見られませんでした。ほとんどの案件はプログラマティックな要素を取り入れたものではなく、スポットバイで行われていました。ただVideologyとしては、プログラマティックなアプローチに価値を見出しており、最終的にその価値を共有してくださる代理店を含むパートナーが、市場において優位な立場を確立していきました。最近はみなさん「テレビとデジタルビデオ広告の融合」について話されているようですが、もしもそれが最終ゴールであるのなら、日本で実現できるのはまだまだ先のことになると考えています。日本のマーケッターの方々は海外のトレンドを非常によく勉強されているので、実現するのは他の先進市場ほど長くはかからないと思います。いきなり「テレビとデジタルビデオ広告の融合」をやりたいと思われる気持ちは理解できなくもありませんが、先ほども申し上げたようにデータの不足、プレミアム在庫がまだまだ少ないという現状を鑑みると、「テレビとデジタルビデオ広告が融合」したプランニングが実現するにはもうしばらく時間がかかるのではないかと思います。ただ、日本の市場が変化してきているのは非常に嬉しく思いますし、「TVer」のローンチや関係者の方々の志を伺うと非常にエキサイテングな気持ちになります。

――「TVer」を成功に導くための課題は何だと思いますか?

マイク 放送局がこの取り組みを全面的にサポートすべきだと思います。イギリス市場でも似たような取り組みが民放局の間でありましたが失敗に終わりました。それは放送局からのフルサポートを得られなかったのと、提供されていたコンテンツの質が十分ではなかったためです。多くのユーザーはそのサービスを利用しませんでした。視聴者が存在しなければ広告収益を生み出すことは不可能であり、取り組みは終了してしまったのです。 著作権についても触れましたが、重要なことは最も質の高いコンテンツを揃えることだと思います。いったん質の高いコンテンツを揃えることができれば、いろいろな対応策を打つことができます。例えば、キャッチアップについては7日目までは無料とし、そのあとはユーザーに課金する。または、過去のコンテンツについては無料で、最新のコンテンツについては有料で提供するなどです。再度、データについて触れますが「TVer」は一貫性のあるデータ戦略が必要だと思います。より正確に言うと、全ての放送局は一貫したデータ戦略が必要です。2016年どういう流れになっていくのか楽しみにしています。広告主、広告代理店、放送局またはデータ会社と話をしてみても準備が整っているように見受けられます。2016年に大きく期待していますが、プレミアムな在庫が多くデータも豊富にあり規模感のある可能な市場になったなと、自信を持って語れるようになるには恐らくもう1年程度はかかるだろうと思います。

 <<  | <  | 1 | 2 

過去のタイトル一覧

2024年

2月│ 3月

2023年

3月│ 5月│ 7月│ 9月│ 10月│ 12月

2022年

3月│ 4月│ 7月│ 8月│ 10月│ 12月

2021年

1月│ 2月│ 3月│ 4月│ 6月│ 8月│ 9月│ 10月│ 11月

2020年

2月│ 4月│ 5月│ 10月│ 11月│ 12月

2019年

2月│ 7月│ 12月

2018年

1月│ 3月│ 4月│ 5月│ 6月│ 9月│ 11月

2017年

2月│ 4月│ 10月

2016年

2月│ 3月│ 5月│ 9月│ 11月

2015年

1月│ 2月│ 6月│ 7月│ 9月│ 10月│ 12月

2014年

1月│ 2月│ 3月│ 4月│ 5月│ 6月│ 7月│ 9月│ 10月│ 11月│ 12月

2013年

2月│ 3月│ 4月│ 5月│ 6月│ 7月│ 8月│ 9月│ 10月│ 11月│ 12月

2012年

1月│ 2月│ 3月│ 4月│ 6月│ 7月│ 8月│ 9月│ 10月│ 11月│ 12月

2011年

1月│ 2月│ 4月│ 6月│ 7月│ 8月│ 9月│ 10月│ 11月│ 12月

2010年

1月│ 2月│ 3月│ 5月│ 6月│ 7月│ 8月│ 9月│ 10月│ 12月

2009年

1月│ 2月│ 3月│ 4月│ 5月│ 6月│ 7月│ 9月│ 10月│ 12月

2008年

1月│ 3月│ 4月│ 5月│ 6月│ 7月│ 8月│ 9月│ 10月│ 11月│ 12月

2007年

2月│ 3月│ 4月│ 5月│ 7月│ 8月│ 10月│ 11月│ 12月

2006年

4月│ 5月│ 6月│ 8月│ 9月│ 10月│ 11月│ 12月