【大高宏雄の興行戦線異状なし Vol.132】
「モンスターズ~」、3D版シェア減少だ
2013年07月09日
「モンスターズ・ユニバーシティ」が、一歩も二歩も抜け出た恰好だ。7月6日から全国661スクリーンで公開され、6、7日の2日間で全国動員61万4815人・興収8億4737万6050円を記録したのである。これは、今年に入って公開された作品では、最高のオープニング成績だった。
土日の2日間比較では、前作「モンスターズ・インク」(最終95億円)を大きく超えた。ピクサーの歴代アニメとしても、「トイ・ストーリー3」(同108億円)、「ファインディング・ニモ」(同110億円)に次ぐ。ヒットの大きなボリュームからして、もっともピクサーらしい興行になっていると言えようか。
今回、ピクサーらしい興行を展開できた理由としては、広範囲な客層に支持されたことが一番に挙げられる。ファミリー層に加えて、20代から30代の男女の集客が目立つ。先の3作品で言えば、この客層のバランスの良さが、90億円から110億円というメガヒットを生んだのである。
それから、注目すべきことがある。3D版のシェアが、大きく下がったことだ。動員では(土日比較)、「トイ・ストーリー3」の95%だったのに、興収では86%であった。これは、明らかに3D版の興収が減少したことを示す。ちなみに、興収シェアでは3D版が46%だったのに対して、2D版は54%。「トイ・ストーリー3」のときは、3D版のシェアは81%だった。
2D版で、何の不自由もない。こう考える観客が増えた。実際、映画館でも2D版の上映回数が、かなり確保されるようになっている。つまり、劇場側、観客側双方が、今回の3D版上映に関して、「トイ・ストーリー3」のときとは違った対応の仕方をしているのである。
「モンスターズ~」は今のところ、最終で70億円から80億円が見込まれ、さらにそれ以上に数字を伸ばす可能性も残している。他のファミリー映画や、スタジオジブリ作品の興行の動向が、「モンスターズ~」に及ぼすだろう影響も無視できない。
7月6日公開の作品では、「劇場版 銀魂 完結篇 万事屋よ永遠なれ」が、絶好調だった。6、7日の2日間で、22万1469人・2億8185万9900円を記録。127のスクリーン数だから、相変わらず劇場アベレージは高い。前作は、最終10億7千万円。今回は、それを上回り、15億円近くまで伸ばす可能性も出ている。
(大高宏雄)