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トップインタビュー:ポニーキャニオン 桐畑敏春代表取締役社長 (第二回)

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トップインタビュー:ポニーキャニオン 桐畑敏春代表取締役社長 (第二回)

2012年07月09日

桐畑社長第二回.jpg


 この夏ポニーキャニオンは、チャン・グンソク主演、ユン・ソクホ監督(『冬のソナタ』)による話題の韓国ドラマ『ラブレイン』をDVD&ブルーレイ(以下、BD)リリースする。5月に開催した韓流ドラマコンベンションで「勝負作」と位置づけた同作に業界の期待も高まるが、同社はこの他にも映画、アニメ、ドラマ、音楽の各ジャンルで強力タイトルの発売を控えている。各作品について、桐畑敏春代表取締役社長に語ってもらうとともに、2月に行った組織改編と、先日(6月18日)の役員人事等も踏まえて、現在の組織概要と今後の戦略を聞いた。

 なお、このインタビューは3回に渡って掲載。第二回の今回は「組織概要と今後の戦略」について聞く――。

※第一回「今期のラインナップ」はコチラ



組織概要と今後の戦略

役員体制.jpg――(前回より続く)次に組織概要について伺います。御社の制作部は、「第1映像事業本部」、「第2映像事業本部」、「クロスメディア事業本部」、「第3映像事業本部」、「映画事業本部」、「音楽事業本部」の6つがありますが、それぞれどのジャンルを担当しているのですか。

桐畑 元々は音楽事業しかなかったのです。その後に映画事業を始め、ドラマなどを担う映像事業が入ってきました。映像はその後、ドラマを担当する第1映像、アニメ・キッズの第2映像、バラエティ系の第3映像に棲み分けました。そしてこの2月に第2映像の一部を分割し、「クロスメディア事業本部」を新設しました。また、第1映像を韓国ドラマを中心とした海外ドラマ専門とし、第3映像が国内TVコンテンツを担当することになりました。第3映像は、ドラマの他にバラエティやスポーツ、グラビアなども手掛けていますから、取り扱うジャンルは一番幅広いですね。第1映像は、昨今韓国ドラマのタイトル数が増えているので、このジャンルに専念してもらうことになりました。

――第2映像事業本部を分割し、クロスメディア事業本部を新設した意図は何でしょうか

桐畑 アニメの場合、弊社は比較的「男性向け作品」が強いのですが、アニメには他にも様々なジャンルがあります。例えば女性向けアニメやロボット系、バトル系など。弊社も男性向けだけでなく、もう少し幅広く手掛けていきたいと考えており、第2映像は男性向けを中心に、それ以外のジャンルをクロスメディアが担当することになりました。余談ですが、事業本部は皆ライバルです。社内で成績を発表し合っていますから。そこで切磋琢磨してもらうのが私の狙いです。

――制作の6事業本部の中で、売上が一番大きい部署はどこですか。

組織図.jpg桐畑 去年までは、(旧)第2映像事業本部が一番でした。『けいおん!』シリーズの大ヒットが牽引していましたから。しかしクロスメディア事業本部と分けたので、今後はどこが一番になるかはわかりません。タイトルによって大きく変わりますからね。

――旧第2映像事業本部は、『けいおん!』をリリースしたあたりから売上が1番大きくなったのですか。

桐畑 いえ、その前にも『ドラゴンボールZ』が好セールスを記録していたので、その頃から第2映像事業本部の売上シェアは高かったです。

――各部署に社員は何名いるのですか。

桐畑 音楽事業本部が一番多く、約60人。あとはだいたい30人ぐらいですね。そしてマーケティング本部、営業本部は、全ての作品を請け負うので人員も多いです。

――2月の組織改編の時に、ネット事業本部の中に映像配信グループを新設されていますが、ここはどんな役割を担うのですか。

桐畑 子会社ポニーキャニオンエンタープライズ(PCE)が、AppleのiTunesのオフィシャルアグリゲーター(コンテンツを調達し、配信業務も担う)に承認されたのがきっかけです。それまで映像配信ビジネスの先行きは不透明でしたが、iTunesには既に多くのお客さんがついていますから、PCEと一緒に力を入れるべく、映像配信ビジネスに特化した部門を作ろうと考えたのです。すでに作品の獲得に動いており、様々な会社にお声掛けしています。例えば、関西テレビさんの映画『阪急電車 片道15分の奇跡』は、弊社がアグリゲーターとなり、iTunesでの配信が決まりました。


投資の回収は2年単位で!

桐畑社長第二回1.jpg――11年度は、売上高472億3400万円(14・1%減)、営業利益26億9400万円(6・7%減)、経常利益28億4300万円(7・6%減)、当期純利益16億1000万円(7・0%減)と減収減益でしたが、どのように見られていますか。

桐畑 売上は75億円ぐらい減りました。これはTVの『けいおん!』が終了したことも原因の一つです。しかし、何より前年度が非常に好調だったことが大きいです。前年度はaikoのベストアルバムが2タイトルありましたし、40万本強を売り上げた『ワンピースフィルム ストロングワールド』をはじめ、『踊る大捜査線 THE MOVIE3 ヤツらを解放せよ!』、『THE LAST MESSAGE 海猿』といったビッグタイトルのリリースが相次いだので、11年度の売上が前年対比でマイナスになることは見込み通りでした。しかし、経常利益はさほど下がっていないのです。
 その要因は、昨年は東日本大震災があり、先行きが見えなかったため、投資をかなり抑えたこと。そして先程申し上げた前年の大作映画の、劇場収入の配当金が11年度に組み込まれたことにも起因しています。12年度は投資も回復してきたので楽しみにしています。社内でも言っていることですが、今は、2年単位で業績を見ています。投資の回収は2年ぐらいかかり、毎年毎年売上を伸ばしていくことは難しくなっているので、2年単位で考えたいと!

――今後は各事業でどのような道筋を立てていますか。

桐畑 全事業本部が「領域の拡大」をテーマにしています。例えば音楽なら、CDのリリースにとどまらず、ファンクラブやコンサートも手掛けていきたい。アニメならキャラクターグッズやコンサート、映画なら劇場配給、韓国ドラマなら番販やファンミーティングといったように、今まで未開拓だったビジネスにも取り組んでいく考えです。そのために、作品を取得する場合、今はできるだけオールライツ契約になるようにしています。

――映画配給事業も拡大していく考えですか。

桐畑 映画の配給は、背伸びして他社さんから取ってくるというようなことは考えていません。買い付けた作品を、できる範囲で自分たちでも配給していこうという考えです。

――あと、11年6月に日韓で出資した「イルシンファンド」を新設されましたね。ドラマの製作は進んでいますか。

桐畑 DVDのリリース時期は未定ですが、第1弾作品は『乱暴なロマンス』が決定しています。


第三回「JVA会長の立場からの視点」につづく。



桐畑社長(プロフィール).jpg桐畑 敏春 (きりはた としはる)

【生年月日】昭和21年(1946年)5月5日
【出身地】滋賀県
【学 歴】1969年3月立命館大学経済学部卒業
【職 歴】
1970年3月 (株)ポニーキャニオン入社
1996年10月 同 取締役 第2営業部長
2001年6月 同 常務取締役 経営情報本部長
2004年4月 同 常務取締役 経営管理本部長 兼 営業本部長、関連会社担当
2005年6月 同 代表取締役社長




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