ニューセレクト株式会社:営業・宣伝部他業務補佐
株式会社アンプラグド:(1)宣伝パブリシスト(2)宣伝アルバイト
【注目!!】松竹株式会社:洋画等の海外映像コンテンツの買い付けメンバー
豊島 映画を普段スクリーンで観ていない方も動員できる、ムーブメントを起こすポテンシャルを持った洋画自体、なかなか今はない、と感じています。岩波ホールさんの特性でもありますが、高野悦子(総支配人)さんを中心とした、いわばサークルですよね。そこにヒントが隠されているような気がします。一つのコミュニティが出来上がっていて、そこで見れば面白い、よりポテンシャルのある作品がかかればヒットすると思うんですけど、先ほど中川さんが仰った1500万人のコアユーザーというような層が映画を支えている。
中川 1年目がだいたい60万人くらいで、興収が5億円くらい。今年は新たに作品を50作品追加して、全部で50劇場で上映していますけども、100万人前後の動員かなとは思っています。ただ、これフィルムで、ニュープリントでやったんですけども、これは意図しなかったんですが、デジタル上映の端境期にぶつかってしまいましてね、ちょっと3回目をどうするかというのが難しいかなと。ファンの方からは、次の新しい50本を早く決めて!というご意見ももらうんですけど、ちょっとお休みをしなければいけないかなと思っています、残念ながら。
―なぜ、洋画の復習上映はないのか
質問 最近は続編が多いですよね。今日から「トランスフォーマー」が公開になりますが、観たいのは山々なんですけど、結構前の話を忘れているんですよね。シリーズの2作目、3作目をやる時に前の作品を、日本映画がやっているみたいに復習上映みたいな形で、やってもらえると助かります。そこには制約があるのか、やっても旨みがないのか、不思議に思っていた。
佐野 今はTVがその役割を担っているんですね。「トランスフォーマー」も公開前に前の作品を放映していた。また、それこそレンタル店でお借り頂きたい。劇場で旧作をかけて新作の上映回数を減らすことは、なかなか配給会社としても興行会社としても難しいんじゃないかと思います。
―映画の入場料金について
質問 映画の入場料についてなんですけども、いろいろキャンペーンをやってお客さんが入っていますが、TOHOシネマズさんが来年から1500円にするというようなことも聞いたんですけど、一般1800円て結構高いなと思うんです。その値段を今度どうするべきだとか、作品によって値段を変えるなんてことは、可能なのでしょうか。
中川 TOHOシネマズとしては今いろんなトライアルをしています。この春から全国7つの劇場で、18歳以上1500円、以下1000円というかたちで、あとプラス、レディースデイやシニアを廃止した劇場もあり、いろんなパターンで、どういう風にお客様が、新しい料金体系に反応されるか、というのをやっています。この夏までのデータをベースに,秋口いろいろ検討して、来年のことを考えようとしています。決して1500円と約束したのではなくて、1500円じゃなくなるかもしれませんが。
ここにいらっしゃるのは、業界の方々、プラス一般の映画ファンの方なんですけども、一般1800円という言い方が、正規の映画料金の代表選手みたいに言われますけども、TOHOシネマズを年間にご利用されるのは4000万人なんです。その内の40%がレディースの方及びシニアの方。1600万人の方が、実は1000円でご覧になっているわけですよ。プラス、レイトショーが大体9%で、もう半分が1200円以下ですよ。そういう現状がある時に、映画料金が1800円と言われてしまうと、ちょっとそれは代表価格なのかなというのは、非常に大きな疑問があります。
実際にその平均単価は3D入れても1300円前後かな、料金は各興行会社が独自判断されることですが、映画人口を増やす、あるいは増えない、その阻害要因として、いろんな作品の問題、サービスの問題もあるでしょうけど、もしかしたら1800円というのが、映画館はなんとなく高いという、高価な娯楽だという印象を形成しているのかなという反省があります。お客様はなるべく安い料金でご覧になればそれに越したことはないので、なんとかその方向の実現に向けて一歩でも前進したいなと今模索している最中です。
作品によって値段が変わるとなると、製作費が10億円なら1500円で、半分の5億円だから1000円というのはこれ難しいですね。均一というのが正しいのではないでしょうか。
大高 いま上映している東映配給の「大鹿村騒動記」が1000円、その前の「デンデラ」も1000円で上映していますので、作品によってはというケースもありますね。
佐野 製作費に関係なく値段が一緒という不条理なこの世界が好きです。製作費200億円の洋画もそうでない映画も同じ値段で見られますからね。是非洋画を見て下さい。
―3Dメガネはもっと軽く、吹き替え版だけに
質問 3Dメガネについて、もっと軽いメガネで飛び出してくる方がいいと思います。もう一つ、3Dは観難いので日本語版だけでいいのではないか、2Dの方に両方やってもらいたい。
中川 メガネにはいろんなバージョンがあるので、軽いメガネを採用している劇場を選ばれた方がいいかなという気がします。飛び出すことに関しては、気分が悪くなったアニメの話もありましたけど、3Dにも基準がありまして、あまり飛び出すと気分を害されるケースもありますので、基本的に今の3Dは奥行きで表現の水準を高めていると思います。飛び出して驚かせるような方向には進んでいない。期待されない方がいいと思います。
佐野 今度の「スパイダーマン」最新作は凄く飛び出してきますよ。ご覧になって下さい(笑)。でも、作品によるのできちんと3Dで製作されたものを選んで下さい。アメリカでも3Dの将来を心配する声があります。
―3Dの問題、アメリカ映画の今後
大高 今日は3Dの話もしようと思ったのですが、本当に3Dの問題というのは、果たしてこの方向でアメリカ映画は行くのかというのもあります。それでは時間ですので、みなさん最後に一言ずつお願いします。
中川 短い予告編を作って頂いて、劇場によく来る映画ファンにいろんな映画を知って頂いて、鑑賞頻度をもう少しあげて欲しい。そういう戦略を興行会社としてもとっていきたいと思っています。
豊島 とにかくコアユーザーの1500万人の方へ、我々配給会社と興行会社さんと一緒に、情報が届く密度というのが本当にどんどん洋画に関しては薄くなっていっているなと非常に感じています。そういった意味で、コア層の方に情報を届けるかという事を一緒に、より真剣にこれから取り組んで洋画ファンの拡大に努めていきたいなと節に願っております。
佐野 業界の方以外でここにいらしている方って本当に映画を愛している方だと思うんですよね。映画って人生を変えることがあるし、それを経験している方々だと思いますので、是非映画をどんどん勧めて下さい。映画というのは芸術でもあるし、人生の指針にもなるし、それを友だちとかと暗い空間で共有するのは素晴らしい体験です。そんな映画の良さを知らない人がまだたくさんいるので、宜しくお願いします。
大高 今日はこういうテーマで結論を出すということではないので、皆さんのいろんな考えがあって、現状がおわかりになったということで、現場の方々も引き続き日本映画界のために考えて行ってもらいたいと思います。今日は本当にありがとうございました。(了)
※7月29日(金)、東商ホールにて。