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チャンス イン、酒匂暢彦代表取締役に聞く!

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チャンス イン、酒匂暢彦代表取締役に聞く!

2011年08月26日

新たに音楽事業もスタート

 ―コンテンツ業界の今後をどのように考えられていますか。

酒匂
 みんな現状に対応しきれなくて苦労しているというのが偽らざるところだと思うんですよ。マーケットが変わってきたのにも関わらず、ビデオ、DVDが好調な時の体制のままという、そこが変えたくても変えられない。じゃあどう変えればいいかもわからない、それは自分自身の反省も含めてですけど。それで新しい事業というものがそう簡単には立ちあがらない。だけど、どんどん状況は変わっていくという、そこですよね。


 ―チャンス インではどのような事業を展開されていくのですか。

酒匂
 これまで自分がやってきたことはベースとしながら、たまたまですけど、こういう学校をやり、今度は音楽事業の方もスタートすることになっています。そこは以前のクロックワークスで出来なかった一つ。但し、音楽というのはエンタテインメント・コンテンツの一つだし、そういった意味では自分が思った以上にいろんなお話を頂くので楽しいですよ。いま業界は大変ですけど、エネルギッシュな人はそうは言っても沢山いるんだなあという気がします。新しいご提案はありますね。こちらもそれを受けていろんなところにアプローチし、そうするとまた行く先々でいろんな話が出てきますから。


 ―音楽事業というのは具体的にはどんなものなのでしょう。

酒匂
 K-POPのプロデュースをしているんです。7月からライブを始めて、徐々にバンドとして熟成させていくという。ただ、バンドだって今いるのをスカウトしてきてというのではありません。一から作っているので時間と手間暇をかけて育てていく過程で、試行錯誤していきたいなと思っています。元々音楽は好きだったし、以前からそういうのを手掛けたいとは思っていたのです。韓流ドラマとかK-POPがこれだけ持て囃されてても、なかなか簡単に出来ることではないじゃないですか。でも、ジョリー・ロジャーの大橋(孝史・代表取締役)くんが「ぱすぽ☆」をデビューさせて、オリコンで1位にしたとか、そういう丁度いろんな気運がクロスしていて、だったらK-POPも作れるんじゃないか、というところから意見交換を始めて、実際にバンドを組ませて活動がやっと始まったところです。

③.JPG 凄く思うのは、映画・映像も音楽もベーシックなところでは同じだなと。結局どういいコンテンツであるのか、グループであればメンバーなり楽曲を集めて、どういう目標に向かって動くかっていうことが大事。いきなり「東方神起」は無理だけど、新大久保で定期的にお客さんが何人くらい来れば、成り立っていくのかみたいな目標値を設定出来れば、投資金額が映画に比べればそれほど高くないですからね。但し、映画は本数に比べてリターンとリスクの幅がある程度見えていましたが、音楽事業を手掛ける前は、音楽は多産多死、もの凄く沢山デビューして、数グループ、数人が残るみたいなそういうイメージだったんですけど、ちょっとここのところ、それなりの規模で成立させられる、やり方もあるんだなと思っているところです。

 メジャーデビューしなくても成立しているインディペンデントのミュージシャンは沢山いるし、それは未公開映画と一緒じゃないですか。別にメジャーのラインに乗せなくても成立する映画は沢山あるし、そういう意味では音楽も同じ。それと大手のレコード会社さんが、なかなか自社開発が出来なくなってきていて、大きいのは得意なんだけど、小さいところから発掘したり、育てたりするのは苦手なわけじゃないですか。それで才能があると思ったらどっかでピックアップするというのはまさしく同じだなあと。それはどこのラインを狙うかですよね。

 でもまあ、経験が出来てくると「少林サッカー」や「ヱヴァンゲリヲン 新劇場版」みたいなことも出来るかもしれないし、映像の仕事をしていたら主題歌を歌ってもらおうかとか、そういった映画と音楽のクロスするところもやってみられる。それを成功させることが出来るか、後はお客さんが望むものは何なのかというのは、映画と一緒。いいものは支持されるだろうし。

 いま新大久保は凄いですよ。ファンの年齢層が下がっています。しかも平日の昼間からいて、滅茶苦茶通りのお店に人が並んでいる。新しくお店が出て、さらにお客さんが増えるという。新大久保にはそういう韓流のお客さんが来ていて、秋葉原にはオタクが来ていて、エリア毎にお客さん、ファンが集まっているのはちょっと面白いですよね。それだけいいクオリティの、高いエンタテインメント・コンテンツとして皆さん評価されているんだと思うんです。そこには今まで日本人が供給できなかったものがあって、そこにマーケットがあったということじゃないですか。だから、いろんな人がいろんなトライをするということですよ。決まり切ったやり方でいけなくなったと思うしかない。生き残っていくためにはいろんな戦略をやられるし、我々もそこに対応していかないと生き残っていけない。実際、生き残っていけていませんよね、採算が合わなくなってきてますから…。


 ―ここ最近、一部のミニシアター系の作品が好調です。

酒匂
 やはり揺り戻しはあるんでしょう。この夏の興行を見ると、ちょっと違うものを見たいとお客さんは思っているんじゃないですか。大作に勢いがあるのならそのままでいいんでしょうけど、中身もいろんな意味で、宣伝含めて、新しいものを求めていて、常にユーザーは貪欲ですから、そこに応えられないと生きていけないですよ。今はネット上ですぐに意見を言えるので、底が透けて見えるような作品はなかなか上手くいかないですよね。


 ―「PRODUCER’S LABO」から新しい人材が発掘され、業界に新しい血を投入し、活性化、業界にとっていい刺激になってくれるといいと思いますので、注目しています。(了)


プロフィール

酒匂暢彦
(さこう・のぶひこ)

1984年、日本ビクター株式会社(JVC)入社。1997年、株式会社クロックワークスを設立し、同社代表取締役に就任。同社で数多くの映画を配給し、02年『少林サッカー』では28億円の興収を記録、09年『ヱヴァンゲリヲン 新劇場版:破』では興収40億円の成績を上げる。10年、株式会社 チャンス インを設立。 他の主な配給作品は『CUBE』(98)、『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』(99)、『マッハ!』(04)、『スーパーサイズ・ミー』(04)、『THE JUON/呪怨』(05)、『運命じゃない人』(05)、『ヱヴァンゲリヲン 新劇場版:序』(07)『ヒトラーの贋札』(08)、『アフタースクール』(08)、『チェイサー』(09)、『ファッションが教えてくれること』(09)。


「PRODUCER’S LABO」の詳細はこちら

㈱チャンス インのホームページはこちら



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