閲覧中のページ:トップ > 文化通信バラエティ > エンタメ・トピックス >

「SP 革命篇」BD&DVD発売決定、波多野監督インタビュー

エンタメ・トピックス

最新記事

「SP 革命篇」BD&DVD発売決定、波多野監督インタビュー

2011年06月01日

 フジ深夜帯の連続テレビドラマからスタートした「SP」は、主演の岡田准一によるノンスタントのアクション、直木賞作家・金城一紀のオリジナル脚本による緻密かつ予測不可能なストーリー展開が話題となり、多くの熱狂的なファンを獲得してきた。その「SP」が、ついに劇場版「革命篇」で完結した。本作のメガホンをとった波多野貴文監督は、ドラマスタート(07年11月)から3年以上の長きに亘って愛情を注ぎ続けた「SP」シリーズに、今何を思うのか。撮影時の裏話も交えて語ってくれた―。



東京での撮影にこだわる

波多野監督(4).jpg
波多野貴文監督
 映画は「野望篇」「革命篇」の2部作で劇場公開。10年10月に公開された「野望篇」は興収36億円の大ヒットを記録。続く「革命篇」は東日本大震災発生の翌日、3月12日に公開された。被害を受けた劇場が上映を中止するなど影響は多分にあったが、5月末で興収33億円突破と本作も腰の強い興行を展開し、改めてシリーズの人気の高さを示した。劇場公開前の波多野監督の自信はいかほどだったのか?

 「自信というよりも、楽しみな気持ちが強かったですね。(原作の)金城さんの本がすごく面白かったので、お客さんに対しては『僕らはこれ面白いんですけど、皆さんはどうですか?』というスタンスだったんです。映画は余韻を残した結末でもありますし、それをどう感じ、どう想像し、これからどう皆さんに成長させて頂けるのか、楽しみでした。(映画の大ヒットについては)純粋に嬉しいですね」

 連ドラは、1話ごとに1人の監督が担当し、それを数人で回していくのがスタンダードな手法。一方「SP」は連ドラ時代、本広克行総監督指揮のもと、波多野監督、藤本周監督の3人が、シーンごとに担当する珍しい形態で撮影を行っていた。しかし、映画版では波多野監督が単独でメガホンをとった。波多野監督にとっては「野望篇」が映画デビュー作となる。

 「でも、元々ドラマからずっと関わっていたので特に気負いはなかったですよ。プレッシャーより、楽しみでした。ドラマの時も脚本の打ち合わせを(本広監督、藤本監督と)3人で行っていたので、『SP』のスタンスも理解しているつもりでしたし。本広監督は『踊る3』の撮影と重なって『SP』の映画版を担当できなかったのですが、自分がやれることになって嬉しかったです」

「SP 革命篇」(2).jpg 前記の通り、映画は2部作で公開した。また、「革命篇」公開直前の3月5日には、前日談となる「革命前日」をテレビ放送。実質「3部作」の壮大なプロジェクトとなった。

 「堤真一さん演じる尾形と、岡田君演じる井上の間に不穏な空気が流れるストロークが、連続ドラマでは少し短かった(※最終回で初めて描かれた)ので、それをさらにジックリ描く必要がありました。あと、(アクションシーンの中で)フリーランニングもやりたいねと話をしていたんです。しかも『007/カジノロワイヤル』の7分間を超えるものを目指したので、これらを1本の映画にまとめることは難しかったんです。『革命前日』は、ドラマ版では描けなかったキャラクターたちのプライベートを描くためのエピソードでした」

 映画化の発表があったのは、ドラマ版の総集編「スペシャルアンコール特別編」を放送した08年4月。しかし、クランクインにこぎ着けたのは翌年9月だった。1年半近く間が開いたが、その理由について監督は「撮影の準備に時間がかかった」と説明する。

 「この映画は、東京で撮ることに意味があるなと思っていました。東京は高層ビルが立ち並んでいて、見える空が狭いイメージがあります。その中を駆け抜ける疾走感を出すために、都内で撮影する必要がありました。これを地方に持って行って撮ると、どうしても空間が広すぎるんです。しかし、撮影場所の確保や交渉に時間がかかってしまいました。平日は出勤ラッシュがあるので、休日や深夜じゃなきゃダメだったり、地下鉄で撮影するための手回しだとか。(『革命篇』の)国会のセットの準備にも時間がかかりましたね。それに、アクションにしても、まずは基礎練習があり、アクションを構築して、カット割してから(本番の)練習がありますから。テロリスト役の俳優たちも、実際に自衛隊を退役された人に基礎訓練を叩き込んで頂いて、そこから始めました」


アクションは全編岡田本人の演技


波多野監督(2).jpg 「SP」シリーズは、スタントを使わず、主演の岡田准一が生身で迫力のアクションに挑んでいることも話題の一つ。監督が入念に練習期間を設けたと言う通り、撮影には常に危険がつきまとう。なぜそこまでノンスタントにこだわるのだろうか。

 「結局、(主役の)井上を演じられるのは岡田准一しかいないので。殴られ方とか、殴り方とか、魅せるアクションとしては(スタントマンの起用は)有効なのかもしれませんが、そうした場合、それは井上の動きではなくなってしまいます。なので、全て岡田君にやってもらいましたし、きっと岡田君もそのつもりだったと思います」

 練習の成果やスポーツトレーナーの手厚いケアもあり、大きなケガをせず撮影は終了したが、各シーンに思い出のエピソードが満載だ。特に、監督が「(撮影中)一番危なかった」場面として挙げたのが、『革命篇』のクライマックスで井上たちSPのメンバーが国会議事堂の議場に突入するシーン。

「SP 革命篇」(1).jpg 「岡田君が机の上を伝って走っていく場面があるのですが、あそこが実は一番危なくて(笑)。下を見ちゃうと動きが格好悪くなるので、全然下を見ていないんです。しかも、机の幅は均等ではないですし、岡田君をワイヤーで吊っているわけでもないので、足を踏み外したら大ケガになります。あれは危なかったですよ。あと、国会の(見張り番の)テロリストを制圧するために、階段に画鋲やノリを仕掛けてテロリストを滑らせて叩くシーンがあるのですが、あそこで岡田君が足を滑らせてコケそうになったんです。あのシーンが撮影最終日だったので、『今日が最後なのに!』とドキドキしました(笑)」

 岡田演じる井上と、高橋努演じるテロリスト・中里が国会議事堂の地下通路で繰り広げる格闘シーンも、手加減なしの本気のアクション。その迫力はとても「演技」とは思えない。

 「高橋君は最強の男ですからね(笑)。彼が椅子を持って殴っていたんですけど、椅子だってわからないくらいこなごなになりました。あのシーンはいかに彼をパワフルに描くかがポイントだったので。効果音が付いて(迫力が)パワーアップしているのですが、生音でも相当痛そうでしたよ。でも、ああいうシーンは本気じゃないと逆に危ないんです。リハーサルを通して二人の間に『避けてくれる』『避けられる』という信頼関係が出来上がっているので、本気で行かずに手を抜くと、タイミングがズレてかえって危なくなるんです。しかし、やっている本人は痛いんだろうな~(笑)」


ブルーレイ・DVD発売決定、見どころは?


波多野監督(3).jpg
手にしているのがBD「特別版」パッケージ
 「革命篇」のDVD・ブルーレイの発売日が8月26日に決定。劇場で1度本作を見た人は、改めてどの点に注目して本作を見るべきだろうか?

 「一度全編を見て、尾形や井上の感情、伊達(香川照之)と尾形の関係性などを把握しておくと、二度目に見た時に、例え無表情の場面でも、その時に紡がれているであろう台詞が思い浮かぶんじゃないかなと思いますね。あと、(尾形の心情が)揺れ動いている感じとか、実際に尾形が何をやりたかったのかも見えてくると思います。一度目だと、単なる私怨にも見えるのですが、何度か見ると、それだけではないということも見えてくると思います。アクションに関しても、実は各キャラクターに応じた動きをしているので、そういう所も楽しんで頂けると思います」

 特典ディスクには、岡田、波多野監督、笠井信輔フジテレビアナウンサーの3人によるビジュアルコメンタリーも収録されている。

 「普通のオーディオコメンタリーとは違い、映画を見ながら解説している岡田君と僕を映像で撮っています。通常は、映像が流れてしまうと、あまり内容に深く踏み込めずに次のシーンに移ってしまいますが、今回は語りたいところでシーンを止めたり、巻き戻ししてから深く語っています。それを見た上で本編に戻ると面白いと思いますよ。メイキング映像も、国会議事堂のセットをどうやって作ったのか、アクションに入る前にどんなトレーニングを行っていたのかも、流れで見ることができ、何度でも本編に戻りたくなるDVD・ブルーレイになっています」

 インタビュー冒頭、監督が「余韻を残した」と話した通り、映画はさらなる展開を期待させる場面を最後に幕を閉じている。果たして、これは続編の製作を意味しているのだろうか。

 「それはないです(断言!)。もう大変なんですよ、(SPの)守りのアクションは。今度は攻めのアクションをやりたいですね。まあ、実際は今後どうなるかわかりませんが、僕らもこれが最後と思って作りましたし、これで終わった方が『SP』っぽいなと思います。あとは観客の皆さんの想像力にお任せします!」
(取材・文:平池由典)



「SP 革命篇」ブルーレイ&DVD、8月26日発売決定!

ブルーレイパッケージ.jpg 「SP 革命篇」のブルーレイ&DVDリリースが8月26日に決定した。また、「革命篇」公開直前にオンエアされた「SP 革命前日」も同日発売が決定。「SP 革命篇」のブルーレイ、DVD特別版には、特典ディスク2枚のほか、初回生産版仕様として「野望篇」「革命前日」「革命篇」を収納できるコンプリートBOXが付く。

「革命篇」商品ラインナップ
(1)特別版【Blu-ray】(3枚組:本編1枚+特典2枚) 税込9,975円
(2)特別版【DVD】(3枚組:本編1枚+特典2枚) 税込7,140円
(3)通常版【Blu-ray】(1枚組) 税込4,935円
(4)通常版【DVD】(1枚組) 税込3,990円




過去のタイトル一覧

2019年

2月│ 4月│ 5月│ 7月│ 8月│ 10月

2018年

1月│ 2月│ 3月│ 4月│ 5月│ 6月│ 7月│ 8月│ 9月│ 10月│ 11月│ 12月

2017年

1月│ 2月│ 3月│ 4月│ 5月│ 6月│ 7月│ 9月│ 10月│ 11月│ 12月

2016年

1月│ 2月│ 3月│ 4月│ 5月│ 6月│ 7月│ 8月│ 9月│ 10月│ 11月│ 12月

2015年

3月│ 4月│ 6月│ 9月│ 10月│ 11月│ 12月

2014年

1月│ 2月│ 3月│ 4月│ 5月│ 7月│ 8月│ 9月│ 10月│ 11月

2013年

1月│ 2月│ 3月│ 4月│ 5月│ 6月│ 7月│ 8月│ 9月│ 10月│ 11月│ 12月

2012年

1月│ 2月│ 3月│ 4月│ 5月│ 6月│ 7月│ 8月│ 9月│ 10月│ 11月│ 12月

2011年

2月│ 3月│ 4月│ 5月│ 6月│ 7月│ 8月│ 9月│ 10月│ 11月│ 12月

2010年

1月│ 2月│ 4月│ 6月│ 8月│ 9月│ 10月│ 11月│ 12月

2009年

1月│ 2月│ 3月│ 4月│ 5月│ 6月│ 7月│ 8月│ 9月│ 10月│ 11月

2008年

1月│ 2月│ 3月│ 4月│ 5月│ 6月│ 7月│ 8月│ 9月│ 10月│ 11月│ 12月

2007年

1月│ 2月│ 3月│ 4月│ 5月│ 6月│ 7月│ 8月│ 9月│ 10月│ 11月

2006年

1月│ 7月│ 8月│ 9月│ 10月│ 11月│ 12月