6月21日(日)午前11時ごろ、新宿ピカデリーに赴くと、すでにロビーはごった返していた。これは、いったい、というわが常套句が浮かびつつ、「マッドマックス 怒りのデス・ロード」の前売り券をもって、チケット売場に並び始めた。電光板を見ると、よし、11時35分の回はまだ大丈夫だ。と思いつつ、別の作品の様子を見て、唖然とした。
2週目に入った「ラブライブ!~」が、大変なことになっていた。その日は10回の上映があり、その段階で、3時台と5時台の回がすでに完売。7時台の回も残り少なめになっていた。ロビーの賑わいは、これか。「マッドマックス」ではなかった。
「ラブライブ!」の興行は、こんな感じだ。6月13日から全国121スクリーンで公開。13、14日の2日間では、動員25万1811人・興収4億0023万5800円。これは、19億円を記録した「映画 けいおん!」の26%増(興収比)のスタート。2週目の20、21日が18万8061人・2億6124万1140円。21日時点での累計が、56万1844人・8億3064万7040円である。
これは、なかなか凄い。こうしたアニメは最初に “かぶり” 、2週目となると、相当の落ち込みを見せるものだが、本作はふんばっている。この勢いが、今後もある程度続けば、20億円は超えてくるだろう。
新宿ピカデリーだけを見てみれば、13、14日で、1万人動員を突破。2週目の20、21日では、8千人弱。今の興行では、ありえないような数字を記録した。理由は、いろいろあるだろう。中身の引きは当然ながら、劇場での入場者プレゼントも大きい。6月27日から、また新たな配布が始まるらしいが、これでリピーターがさらに多く出てくることだろう。
では、「マッドマックス」の興行はというと、こんな感じだ。6月20、21日の2日間で、17万4807人・2億6478万4500円(666スクリーン)。宣伝費は、高額が投入されている。現時点では最終で15億円が一つの目安で悪くはないが、これだけの大きな構えからしたら、少し物足りないスタートだとも言える。
新宿ピカデリーでいえば、「マッドマックス」は、近隣上映のTOHOシネマズ新宿に及ばない成績だったと聞く(土日比較)。つまり、かなりの観客が歌舞伎町に流れていると判断していい。作品の傾向も理由の一端だろう。だが、流れているのは事実なのである。
「マッドマックス」と「ラブライブ!~」の比較を、ここでやろうというのではない。2作品を並べて、新宿ピカデリーにおける「ラブライブ!」上映の意味の大きさを確認してみたかったのである。近隣と同時ではなく地区単独上映ができ、館数が少なく、しかも大ヒットすると、このシネコンの成績は、全体の興収からは、思いもよらない数字になるのである。
新宿ピカデリーの底力を、「ラブライブ!」で今回改めて感じた。化けると、このシネコンはとんでもないことになる。歌舞伎町との “共存” が可能かどうか、よく話題になるが、アニメに限らず、独自番組の編成を今以上に工夫すれば、このシネコンの可能性は、もっともっと出てこよう。新宿ピカデリーのファンとして、期待するところ大である。
(大高宏雄)