さあ、GW興行に突入である。明日29日から休みに入るが、すでにGWの映画戦線は大きく動いている。ざっと、これまでのスタート時(2日間及び3日間)における各作品の成績を、“興収” 順に羅列してみよう。
▽東映配給「ドラゴンボールZ 復活の『F』」=動員71万5727人・興収9億6058万6350円(4月18、19日)653スクリーン
▽東宝配給「名探偵コナン 業火の向日葵」=68万8623人・8億7476万2300円(4月18、19日)349スクリーン
▽東宝東和配給「ワイルド・スピード SKY MISSION」=52万2631人・7億3564万2700円(4月17~19日)641スクリーン
▽ディズニー配給「シンデレラ」=41万9796人・5億5610万8800円(4月25、26日)521スクリーン
▽東宝配給「映画クレヨンしんちゃん オラの引越し物語~サボテン大襲撃~」=32万9977人・3億8940万5800円(4月18、19日)339スクリーン
▽東宝配給「寄生獣 完結編」=20万4691人・2億7071万2500円(4月25,26日)422スクリーン
▽WB=オフィス北野配給「龍三と七人の子分たち」=14万6590人・1億8465万8300円(4月25、26日)246スクリーン
▽松竹配給「ソロモンの偽証 後篇・裁判」=12万8434人・1億6807万5000円(4月11、12日、先行有料上映分含む)313スクリーン
▽FOX配給「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」=8万2673人・1億0900万0600円(4月10~12日)166スクリーン
▽東映配給「王妃の館」=4万0440人・5050万8500円(4月25、26日)258スクリーン
▽ギャガ配給「セッション」=2万5774人・3783万5400円(4月17~19日)16スクリーン
一つのことが、まず言えると思う。春興行から続く定番もの作品の圧倒的な高稼働である。とくに、アニメの強さが顕著だ。またか、という声が、至るところから聞こえてきそうだ。事実、またか、である。「ドラゴンボール~」が9億円台、「名探偵コナン~」が8億円台。ありえないようなハイレベルの激突ぶりに、正直呆れ果てた。どちらかが “カブった” ので、片一方がへこんだというようなよくある興行の話ではない。“共存” したのである。
ただ2週目に入ると、2作品ともそれなりの落ちを見せ、26日時点では、ともに累計18億円台になった。落ち込み分は、「ドラゴンボール~」のほうが大きく、「名探偵コナン~」が「ドラゴンボール~」に迫ってきた。GW期間での勝負となる。
洋画に目を移せば、「ワイルド・スピード~」と「シンデレラ」が抜きん出た。これも、定番である。シリーズものと、“ディズニーもの”。前者は、面白さ、迫力感が浸透して、新作ごとに尻上がりの興行展開。後者は、ディズニーの “原点にして頂点” という触れ込み。誰もが知っているシンデレラ物語に、多くの女性観客が詰めかけた。
定番ばかりでは面白くないと思っていた矢先、「龍三と七人の子分たち」がヒットスタートで、最終興収で10億円以上が見えた。これはりっぱである。劇場を覗けば、多くの年配者が大笑いしているのが、とてもいい感じだった。仲間内で笑いをとるケースの多いテレビ的、バラエティ的なコメディーではない。理屈抜きに、腹の底から素直に笑えるコメディー映画で、北野武監督の笑いのセンスが、“一般大衆” に向かって、大きく花開いた感じだ。
今日は、ここで止める。GW興行のスタート時なので、総括めいたことはしないし、できないこともある。スタート成績を記したのが今回のポイントで、これからその展開はどうなるのかということを、考える一つの手立てにしてもらいたい。初発の数字を見ることで、いろいろなことが浮かんでくるのではないか。一番気になるのは、例によって、「ソロモンの偽証 後篇・裁判」である。
(大高宏雄)