BS放送の売上はどこまで伸びるか?
2011年02月10日
民放BSデジタル放送の売上はどこまで伸びるのか―。BS日テレの小野寺徹営業局長は先頃行った広告会社向け4月編成説明会で「業界全体で1千億円に伸ばしたい」と熱く語った。
民放連研究所が1月下旬に発表した予測では、2010年度の無料民放BS放送6社合計の営業収入は416億円程度。前年比13・7%増と2ケタ伸びを見込み、7年連続の増収と好調だ。1社あたりの収入は40~89億円程度で、全社が増収で勢いがある。
売上1千億円にするには、現状から2倍以上に拡大させなければならない。この1千億円という数字の根拠は何かと言うと、地上波テレビとの対比にある。同じく民放連研究所の予測によると、2010年度の民放地上波テレビの営業収入が2兆727億円(前年比0・4%増)。それに対してBS放送6社売上はわずか2%という比率から、まだまだ伸びる余地があると見てのことだ。民放地上波テレビの数字がそう変わらずに考えると、BS1千億円で5%の比率になる。20分の1の割合だ。
それが妥当なのかどうかだが、制作費の規模の対比とやや似ている点が目を引く。民放キー1局あたりの制作費は1千億円弱の規模。これに対しBS局はその20分の1に満たないものの、それに近い制作費にある。そう考えると、目標数値として頷けない数字ではない。
先日、某民放BS局の役員との酒席で、訊ねてみると、驚きながらも「叶わない数字ではない」と話してくれた。もちろん希望的観測もあり、そう容易なことではないのは承知の上。BS放送市場拡大を図るべくの、小野寺局長の想いに賛同する。
来年にはディズニーが無料BS放送を開局する。民放連加盟を希望している。関係者の話によれば、相当な入れ込みようで、言わば、傘下の米「ABC」が日本にやってくるようなチャンネルになると見られている。資金はふんだんにある。陣頭指揮の幹部体制はこの程固まり、これからヘッドハンティングもして陣容を固めるとか。広告営業も力が入る。既存BS局には脅威にも映るが、シェアの奪い合いにならず、広告市場拡大が期待される。