BS11デジタルが他局では出来ないような番組を放送した。イヤ、世間的にもやらない番組という方が正しいかもしれない。タイトルテーマは「愛煙家、俺にも言わせろ」。著名なスモーカーが登場し、昨今高まる禁煙の風潮に反論した60分討論番組だ。
毎週日曜日の夕方放送「本格闘論FACE」(18時)でタバコをテーマに取り上げ12月19日放送した。出演者は作曲家のすぎやまこういち、元文芸春秋編集長の堤尭、評論家の西部邁、そしてMC二木啓孝(BS11解説委員)の各氏。4人とも愛煙家。タバコをふかしながらのスタジオ討論。
「俺にも言わせろ」というタイトルテーマ通りけっこう言いたい放題。MC二木氏が「自分はタバコの健康への害は否定せず、やはり分煙は止むを得ないと思う」旨を述べて、バランス的な配慮もしばしば見せるが、著名人たちからは禁煙派には「冗談じゃない!」と思うであろう発言がガンガン飛び出す。愛煙家にとって、意を強く人がいたかどうかはわからないが、日頃肩身の狭い思いをしている人には慰み!? それこそ一服の清涼剤になったかもしれない。禁煙・喫煙の是非は別にして、なにしろ彼らの時に傲慢にも聞こえる放言に思わず笑ってしまう。「禁煙は文明の滅亡」とまで語り出す。一方で「小さい声で言うけど」などと妙にわきまえたりするところが面白い。日頃のうっぷんをはらす仲間内の話として聞けば、うんうん頷く愛煙家も多いだろう。
もちろん番組は、肺がんとの因果関係の信憑性、煙草はダメで自動車等の排ガスはどうか、健康増進法なる健康を強制することの是非など、問いかけながら進行した。
番組の最後に、今度は禁煙派と討論しようではないかと盛り上がる。西部氏は自分1人対100人でも勝てる自信はある、なんて言ってしまうあたりが、冗談なのか本気なのか。
ちなみに、再放送は12月25日(土)午前7時。まだ見ていない愛煙家の方、チャンネルを合わせてみては。
BS11デジタル(日本BS放送㈱)と言えば、業績が向上、今年8月期決算で初の単年度黒字を達成、累積赤字も解消し今月の増資で借入金も返済予定と、着々と基盤を整えて注目される。オリジナル番組を多彩に手掛け、政治家から徹底的に話を聞く報道番組「INsideOUT」は定評があり、のちに生まれたBSフジ大型報道番組「プライムニュース」のスタイルの元になっているとも云われている。来年は1月5日金杯から競馬中継(毎週土・日放送)がスタートと話題を振り撒く。民放キー局のネットワークに属さないのを逆に強みに変えて果敢に挑もうとしている空気が伝わってくる。
この秋、目時剛社長にインタビューした時「うちは尖がったところが持ち味」と話す。愛煙家の討論番組もそんな姿勢のあらわれだろう。あなどれない存在になってきた。ただ、まだまだ認知不足。来春に大幅な改編を目論んでいるという。どんな番組が飛び出すか、楽しみだ。