あなたも借金７００万円？

　毎秒１３０万円、借金が増え続けている―。

　そんな出だしで始まったＮＨＫスペシャル「８６２兆円 借金はこうして膨らんだ」。世界でも突出した借金大国ニッポン。今年度末には８６２兆円に達するという。笑うにもピンとこない数字。国民一人あたり７００万円の借金を背負っている計算。

　なぜ、そんなにも借金が増えたのか。入手した財務省の内部文書をもとに、当時の旧大蔵省歴代幹部らの証言、関係者のインタビューから検証する。放送は11月７日（日）21時だったが、11月末頃の再放送を録画して見た。大揺れの政界、景況に多大な影響を持つだけに興味深く見た。

　昭和39年東京オリンピック後の不況で、昭和40年度やむを得ず〝麻薬〟と称された赤字国債に手を染める。一度だけのはずだった。しかし時代は高度成長の気運にあって公共事業に投下、麻薬を打ち続ける。加えて、老人医療費の無料化、年金の増額など社会保障費が予想以上に膨らみ、歯止めをかけられない。仕方なく、むしろ莫大な借金をして経済成長を図り、税収で取り返そうと大きな賭けに出る。が、思いのほか税収は伸びない。一旦はバブル景気（昭和61年～平成３年）でやや落ち着くも、それでも数兆円の赤字国債を発行、平成元年（89年）に消費税を導入するも財政難は変わらず、平成６年再び借金に走る。今年度の税収は37兆円、支出は92兆円とさらに借金は拡大する。

　番組は10ヵ月にわたり取材。連立政権は、ゆえに各党からの要望で予算が拡大することも示唆する。赤字国債の発行は法律的に認めていないが、特例で許されるため、毎年特例を設けている。日本経済の発展はこの莫大な借金で成り立っている。しかし、いつまで借金が出来るのだろうと思わせる。

　いまの「池上彰さん」と趣きが違うものの、やはりＮＨＫらしい番組だなとも思った。