「第61回NHK紅白歌合戦」の出場者が、今日(24日)午後4時から発表される。
出場者については、NHKのガードが固いので、なかなか状況を掴むのは至難の業である。そこでNHKやレコード会社、プロダクションの担当者などから情報を掴むことになる。
「たかが『紅白』」
というが、やはり、腐っても「紅白」。いくら強がりを言っても本音は…。やはり音楽業界にとって「紅白」は魅力的な番組であることは間違いない。何といっても、今の時代、音楽番組で40%の視聴率を取る番組なんて存在しない。40%どころか、その半分の20%でさえ取るのは至難の業である。
しかも、放送業界にとっても「紅白」は違う。そもそも1回だけの音楽番組に3億円もの巨額の制作費を投じるなんてあり得ないのだ。やはり、NHKしか出来ない唯一の番組と言うことになる。そういった意味でも
「たかが『紅白』、されど『紅白』」
である。
いずれにしても、「紅白」に出場したら、翌年のCDセールスに少なからずハネ返る。
今年は、坂本冬美「また君に恋してる」や木村カエラ「Butterfly」、さらには、いきものがかり「YELL」、そしてスーザン・ボイル…。
過去には、中島みゆきが「地上の星」を歌い翌年、オリコン・チャート1位にランクされた。近いところでも、秋元順子が「愛のままで…」を歌いオリコン3位になったし、さらには秋川雅史の「千の風になって」や、すぎもとまさと「吾亦紅(われもこう)」なんかも大ヒットした。いずれも「紅白」効果である。
演歌歌手にとっては、「紅白」に出場するかどうかは歌手活動にも響く。地方でコンサートをやる場合、「紅白」出場は、ギャラにも響くからだ。これは所属のプロダクションにとっては深刻な問題だ。例えば、小林幸子。彼女の場合、「紅白」で身に着ける衣装を1年がかりで制作する。そのために「チーム小林」という組織まで持っている。「紅白」で話題にし、それを次の年に自身の公演でファンに披露する。さらにはCMでも使う。まさに「紅白」あっての小林幸子である。
さて、今年は…。
当初、出場が内定していたK-POPのKARAは、ここにきて出場を見合わせたと言う。何故か?どうやらオバケ番組ならではの「紅白」の事情もあるようだ。
4人組のロックバンド、BUMP OF CHICKENも内定していたが、直前になって辞退した。どうやらNHKでは、今年は「はやぶさ」の帰還もあって、種子島からの中継で「天体観測」か「プラネタリウム」、あるいは「宇宙飛行士への手紙」を歌って欲しい…と打診してきたようだ。しかし、所属事務所側は新曲に拘った。
彼らは12月にアルバムのリリースを予定しているが、ツアーはやらない。だったら、「紅白」に出て新曲を歌い、少しでもアルバムに結びつけたい…と考えていたのかもしれない。いずれにしても、NHKと所属事務所との話し合いがつかなかったことが辞退の理由になったと言われている。もっとも、発表の直前になって「やっぱり…」なんてこともあるかもしれないが。
たかが「紅白」と言ってしまえば、それまでだが、さまざまな思惑が交差して「紅白」の出場歌手は決まる。まさに政治の世界と一緒だ。
「紅白」は、今や音楽業界を飛び越え、日本の芸能界の縮図になっていると言い切っても過言ではない。