先頃、ユーチューブの投稿動画でとんでもない事実が判明した。モルディブで挙式する白人カップルに、祝福するはずの現地立会人の男性が実は罵声を浴びせていたのだ。カップルが現地ディべヒ語が分からないのをいいことに「豚だ」の何だのと…それはヒドイもの。神妙な儀式にあって、牧師にあたるような立会人の祈りの言葉に頷いたり笑顔も見せるカップル…侮辱されているとも知らず、なんともやりきれない。
モルディブの「ヴィルリーフ」、ハネムーナーに人気のリゾートアイランドでのこと。そこで挙式するカップルは多い。魚影が濃いハウスリーフでも知られ、日本人にも人気だ。モルディブはイスラム教徒。外国からの他教徒カップルを快く思わないのか、そんな恨みめいた暴言を吐く。
観光産業が主要なモルディブ。今後の影響を危惧し、政府は立会人とスタッフを拘束したという。ナシード大統領はそのカップルにすぐに謝罪の連絡をとり、あらためて招くことにしたと、TVのニュースが伝えていた。100以上ある全リゾート島のスタッフに適用する職務ガイドラインを導入する方針を示したとも報じられている。
投稿された動画は、撮影したそのリゾートのスタッフと云われているが、告発だったのだろうか?その事件は今回だけだったのかどうかも気になる。そこで結婚式を挙げた人にとっては一転、穏やかではないだろう。以前そのリゾート島に務め、挙式を目にした人のブログによれば、スタッフは挙式で聖典を読むといいながら新聞を読んでいたとか。ただ、そんな人は少数派、基本的に皆いい人たちと記している。
モルディブの、あるリゾートの日本人スタッフから以前聞いたことがある。モルディブ人は欧米人観光客には親切な対応をするが、日本人には軽んじる面があると。欧米の文化は知っていても、日本についてはあまり情報が伝わっていなく遅れた国と見ているとか。だから日本人スタッフにも同じような態度なので苦労すると。もちろん限られた人たちであろうと記しておくが、あまりいい話ではない。
だからといって、モルディブ行きをやめなさいなんて言うつもりは全くない。暖かいスタッフは大勢いる。白い砂浜に映えて広がる青い海と空に包まれて、そよぐブリーズに鼓動が鳴って生まれ変わるほどの神秘な世界に癒されるひと時がある。一度体験すると病みつきにもなるでしょう。
それにしても、きっかけとなった投稿動画サイト。投稿されて世間にさらされるケースはこれまでもあったと思うが、そんな使われ方がますます増えてくるようでコワイ気もする。
(戎正治)