ショウゲートの代表取締役社長が交代した。新社長は、親会社・博報堂DYメディアパートナーズで前エンタテインメント事業局局長だった百武弘二氏=写真上=。広告営業畑での抜群の経験を生かし、エンタメ・コンテンツを核にした「360度ビジネス」を展開する考えだ。前社長の春名慶氏=同下=とともに、ショウゲートの第2ステージを切り開こうと動き出した。
過去3年に対する評価
――4月1日付で社長交代を含む人事異動、組織変更がありました。
百武 私は1980年に博報堂に入社して以来、28年間、広告営業一筋で勤めてきましたが、昨年4月1日から、博報堂DYメディアパートナーズ(以下、博報堂DYMP)のエンタテインメント事業局の局長を拝命しました。不安や戸惑いもありましたが、エンタテインメントはもともと好きな領域でしたし、この1年間は、非常に面白い体験でした。一方、その過程で「私が何故ここにいるのか?」と自問し続けてきたのも事実です。エンタテインメント・コンテンツは広告ビジネス、メディアビジネスにおいて重要性を帯びてきている。それなのに、なかなか収益を上げにくい現状がある。その〝収益化〟という観点から、広告営業において収益を上げる責務を担ってきた私がアサイン(割り当て)されたのだと、1年前の局長就任を捉えました。今回のショウゲート社長への就任はその延長線上にあり、エンタテインメント・コンテンツ領域で収益の上がるビジネスを実現することが私のミッションであると判断しています。今後はメディアやコミュニティの多様化が進みますから、広告も映画も、マスのお客様をターゲットに多くの収益を得るという従来の構造から変わっていきます。そういった変化に対応していかなくてはいけない。そこにも、私の役割があるのではないでしょうか。
――春名さんは、ご自身が社長を務めた3年間をどう評価しますか。
春名 07年5月1日に社長になり、赤字体質だった会社をまるごと承継し、どう軌道に乗せていくか――。3年で黒字化を目指し、なんとかそのレベルに持っていけたと思っています。その間、大きく2つのことに取り組みました。1つは、洋画買付けの見直しです。前身の東芝エンタテインメントは洋画主体の配給会社でしたが、僕自身は、洋画配給ビジネスをインディペンデントでやっていく上での臨界点を模索していました。ついては、いかにMGを抑えながら、P&Aを効率的に使っていくかという視点で、事業全体のコスト・コントロールに取り組みました。ただ、残念ながら、僕が社長をやっている間に、洋画ビジネスに急速に逆風が吹いてしまったという環境変化がありました。2つ目が、邦画村の住人として、年間の番組編成で邦画のシェアを上げていくこと。3年目の09年度(09年4月~10年3月)は、「愛を読むひと」や「Dr.パルナサスの鏡」等の大きな洋画作品もあり、まだまだ邦画にシフトしきれませんでしたが、10年度(10年4月~11年3月)は洋画をあまり買っていないこともあり、邦画のシェアはかなり上がります。
――今回の社長交代人事を、春名さんはどう見ていますか。
春名 この3年間は、博報堂DYグループの中で映画とアニメを扱う専門会社として、軌道に乗せることに全力を注いできました。今回の社長交代は~
(※全文は文化通信ジャーナル2010年5月号に掲載)