特集:日本映画 製作の現状に迫る――日本映画製作のキーマン17人 インタビュー
2007年08月28日
流行に左右されない確かな映画製作を 21年ぶりに洋画を上回った2006年邦画興収
製作現場は活況だが“邦画バブル”なのか? 昨年の日本映画界は、邦画が1077億5200万円(前年比31・8%増)の興行収入をあげ、21年ぶりに邦画が洋画(前年比10%減の948億0200万円)のシェアを上回り、話題となった。また、邦画の興収10億円以上の番組は28本(一昨年は26本)で、総興収は783億9千万円と洋画(740億9千万円)を43億円を上回った。これは邦画の製作・配給本数が増えたこととアメリカ映画の不振が、この成績に継ったものだ。邦画の配給本数は417本で、前年を107本上回った。松竹、東宝、東映による“邦画3社”の配給本数は76本で、ギャガ・コミュニケーションズやアスミック・エース、日活などインディペンデント系配給会社によって公開された本数の多さが目立つ。製作本数も映倫の審査本数などから推測すると700本以上が昨年1年間で製作された。カメラなど撮影用映画機材のレンタルは、常に満杯状態で、35ミリカメラが足りずに香港まで出張して手配したということもあった。撮影所も昨年は、日活撮影所をはじめ東宝撮影所、東映東京撮影所、角川大映撮影所とステージ・レンタルも、映画機材と同様で各社の営業収益に貢献した。製作現場はまさにバブルの状態だが、映画業界にとってかならずしも喜ばしいことばかりではない。昨年製作された700本の作品のうち、何本の作品が公開されるのか、数100本はオクラ入りするのではないかとも言われている。
今回本誌では創立55年記念特集号の一環として「日本映画 製作の現状に迫る」と題した特集を組み、各社の邦画製作担当者にインタビューした。
質問事項、各社の担当者及びそのインタビュー記事のタイトルは次のとおり。
☆質問事項
1:平成19年上半期(1月~6月)を振り返って
2:下半期(7月~)のラインナップ及び目玉作品について。
3:邦画バブルといわれる状況をどう捉えているのか。
4:今後の業界の見通しについて
☆タイトル/担当者
来期は年間配給本数を20本前後に減少へ 松竹(株) 北川淳一 編成局編成部長
きちんと観客のほうを向いた作品を
東宝(株) 市川南 映画調整部長
両撮影所の自社製作作品を増やしたい 東映(株) 坂上 順 常務取締役
来年は角川文庫60周年で大キャンペーンを
角川映画(株) 中川滋弘 取締役企画製作部担当
人材・環境も充実し企画に注力!今後も大作続々 日本テレビ 奥田誠治 編成局映画センター長兼映画編成部長兼映画事業部長
心にインパクトを与える映画作り
TBS 濱名一哉 映画事業部長
ヒット生む仕組み出来上がってきた フジテレビ 亀山千広 映画事業局長
自社発作品増やす!開局50周年機に企画中
テレビ朝日 梅沢道彦 編成制作局映画センター長
久しぶりの幹事製作「パコと~」来秋公開 テレビ東京 鈴木一巳 メディア事業推進本部 コンテンツ事業局事業部映像グループ
クリエイターに惚れ込みパッケージ化
アスミックAE 小川真司 執行役員
劇場を持つ強みが今後活きてくる シネカノン 李鳳宇 代表取締役
周防作品「それでも~」の観客のこと
アルタミラピクチャーズ 桝井省志 社長
今こそ新たな才能を育成すべき時 ロボット 阿部秀司 代表取締役社長
映画として見て欲しいという気持ち
オズ 一瀬隆重 代表取締役
もう一度、原点にかえった映画製作を セディックインターナショナル 中沢敏明 代表取締役
いい映画で、且つ当たる作品を作る
IMJE 久保田修 代表取締役
「背骨にジーン」と来るワクワク感覚 小椋事務所 小椋悟 代表取締役社長(全員のインタビュー全文詳細および各社主なラインナップは
月刊誌「文化通信ジャーナル」07年8月号に掲載)