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サーティースリーが北米進出、アニメ特化のマーケティングエージェンシー設立

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サーティースリーが北米進出、アニメ特化のマーケティングエージェンシー設立

2023年05月08日
 エンターテインメント業界に特化した総合マーケティングエージェンシー「株式会社サーティースリー」が、北米に進出することがわかった。ロサンゼルスに現地法人「33 USA Inc.」を設立し、北米初となるアニメ業界専門のマーケティングエージェンシーとして、日本のアニメーション作品を中心に現地のエンターテインメント企業が抱える様々なマーケティング課題に対し、ワンストップソリューションを提供していく。オフィスをウェストハリウッドに構え、この春から業務をスタートしており、年内に現地採用スタッフで約20人の体制になる予定だ。

 主軸サービスとして、(1)ソーシャルメディアマーケティング(公式SNSアカウント運用、インフルエンサーマーケティング)、(2)PR(宣伝プロデュース、メディアパブリシティ)、(3)クリエイティブ(グラフィックデザイン、動画、WEB制作)、(4)広告販促(デジタル中心)を展開する。また、日本企業の海外アニメコンベンションへの出展や現地プロモーションをサポートする体制も構築する予定。

 サーティースリーは2021年1月に設立され、今年で3年目。会社の歴史は浅いものの、すでに日本の映画・アニメ業界では評判が高まり、案件依頼が急増加中。アニメーションでは『BLUE GIANT』や「チェンソーマン」、「ちいかわ」、実写では『なのに、千輝くんが甘すぎる。』、『非常宣言』といった話題作のPRや広告プロモーションを手掛け、今後も「BLEACH 千年血戦篇‐訣別譚‐」、「るろうに剣心 明治剣客浪漫譚」、「葬送のフリーレン」などが控える。

 業績も順調に推移しており、2年連続で前年比150%の伸長を見込み、社員数は現在27人、年度内で約35人規模まで拡大予定だ。特にソーシャルメディアマーケティング事業の今年度の売上は前年比300%以上と成長著しい。専門性が高く熱烈なファンが多いため運用が難しいとされるアニメ、アイドル、韓流などのSNSアカウントを多数立ち上げ、運用を成功させてきているところが高く評価されている。

 国内の事業が計画通り拡大していく中、同社はさらにアクセルを踏み、世界展開にも着手する。その第1弾が、北米事業だ。営業開始前の段階で複数の案件依頼が来ており、すでに大作アニメーションの米日両国のマーケティングを手掛けることが決まっている。

 日本のマーケティング会社がアメリカに進出する理由は何なのか。サーティースリー代表取締役で北米新会社のファウンダー&チェアパーソンを務める久保田光治氏に話を聞いた。

 「最大の理由としては、北米で日本のアニメ人気が高まっている中、現地のマーケットやオーディエンスインサイトを深く理解した上で、日本アニメのポテンシャルを最大限に引き出したマーケティングができ、作品愛に溢れたエージェンシーが見当たらなかった事が挙げられます。アニメ作品の宣伝は実写とは一味違い特殊なことも多く、アニメ大国の日本でさえ、エージェンシーの数は限られます。現地で様々なお話を伺う中で、事業会社の宣伝部の皆様だけでは手が足りず、十分なマーケティング活動が行えないままリリースに至っている作品も少なくないと知りました。日本でアニメ事業会社の宣伝部の皆様と連携しマーケティング支援を行っている我々なら、北米でもチャンスがあるのではないかと考えました」。


サーティースリー久保田氏.jpg
久保田氏


 さらに、世界同時リリースのアニメ作品が増えたことにより、日本との連携がより重要になってきたこともポイントだ。「各国のオーディエンスに刺さる魅力的な展開やローカライズをする事は大前提ですが、日本サイドともしっかり連携し、宣伝スケジュールやレギュレーション共有、スムーズなアプルーバル作業、原作や制作サイドの意向を理解して、守るべきものは守りつつ攻めの姿勢で進めていく事もとても重要だと考えております。その点弊社では現地の宣伝スタッフとして、日本語と英語それぞれのネイティブスピーカーを有し、さらに日本側の宣伝チームとの連動も可能です」。

 33 USAのCEOには、米国籍を持ち、パナソニックやカプコン、ギャガ、パジーなどで国際ビジネスに携わってきたJOHNNY GOTO氏が就任。また、スタッフは全て現地採用する方針で、すでに北米有力マーケティング会社や、エンタメ企業で多くの経験を積んできたメンバーが決まっている。久保田氏は「採用面談を重ねる中で、多くの方から『エージェンシーサイドでアニメ専門の会社が登場するのを待ってた!』と言われます。みんなアニメの知識がとても豊富で、なおかつマーケターとしても優秀な人材が揃ってきているので、これからともに実績を積んでいく事が楽しみです」と語る。

 なお、久保田氏は北米事業に注力するため現地法人のファウンダー&チェアパーソンとして、ロサンゼルスと東京の2拠点での生活をスタート。一方、日本の事業は、共同代表の田中慎太郎CEOが統括する体制にシフトし、規模の拡大に伴い、事業ごとにマネージャーを配置。PR事業は青野小春、ソーシャルメディアマーケティング事業は大倉裕子、クリエイティブ事業は樫原康典、広告販促事業は幸徳希の各氏が担当していく。

 たびたび北米のボックスオフィスTOP10に日本のアニメ映画がランクインするようになったことが示す通り、現地では急速に日本アニメの人気が高まっている。久保田氏は「担当させて頂いた作品を大ヒットに導く事は当然のこと、これを一過性のブームで終わらせず、カルチャーとして根付かせていけるよう、我々なりの角度から一翼を担えたらと思っています。そのためにも、クライアントやクリエイターの皆様から信頼される存在になれるよう、今後も日々精進してまいります。そして、世界中が熱狂するアニメ体験を届けられるよう、話題のプロモーションをバイブスMAXでブチあげてまいります」と大きな希望を持ってエンタメの本場に挑戦する構えだ。

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