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ヒット作品輩出、外配協にも入会「フラッグ」の配給事業、久保代表に聞く

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ヒット作品輩出、外配協にも入会「フラッグ」の配給事業、久保代表に聞く

2021年10月27日
フラッグの久保氏.jpg


 デジタルマーケティングの総合プロデュース会社「フラッグ」が、10月1日付で外配協に入会した。昨年12月から配給事業を本格的に始めた同社は、これまでに5本を劇場公開。この夏には興収5千万円を超えるヒットになった『Summer of 85』(共同配給クロックワークス)を手掛け、10月22日(金)には『ビルド・ア・ガール』(共同配給ポニーキャニオン)を公開する。久保浩章代表取締役(=上写真)に進捗状況を聞いた――。
※この記事は文化通信速報【映画版】10月22日付に掲載したものです。

 外配協には賛助会員として入会。久保氏はその理由について「1つは、配給事業を行う中で、宣伝の立場からは見えていなかったことがたくさんあったので、ノウハウをお持ちの先人の方々と情報交換させてもらうことが大切だと感じたのです。責任感を持って今後も配給に向き合っていくという意思表明でもあり、松竹さんとKADOKAWAさんにご推薦頂き、入会することになりました。あとは、JASRACの面もあります」と説明する。久保氏が〝見えていなかった〟と認めるポイントは、主に劇場のブッキングや、スクリーンをどう開けてもらうかといった劇場営業ノウハウの点。すでに経験者は入社しているものの、会社全体で経験値を上げる必要性を感じているという。

 さらに、「宣伝だけをしていた時に比べ、より、目の前にお客さんがいる状況を意識するようになりました。宣伝的な手応えに比べ、動員が伸び悩んだり、狙っていた層とは違う客層が来ていることがあり、なぜなのか悩みました。WEB宣伝は空中戦になりがちですが、それだけでなく、(客の顔が見える)映画館と一体となり進めることの重要性を痛感しました」と話す。例えば、2月5日に公開した『ダニエル』は、プロモーション用に人気声優を起用した吹替特別映像を制作。その声優らが出演する特番も配信し、大きな盛り上がりを見せた。ところが、劇場上映時の本編は字幕版のみだったため、特番を見た声優のファンが足を運ぶことは少なかった。久保氏は「宣伝のツールとして活用しましたが、(客との認識に)乖離がありました。認知を獲得するためには、そういった手法はダメとは思いませんが、お客さんが映画館に足を運んでくれるまでには高いハードルがあります。結果として狙い通りの結果を残せませんでした。『ダニエル』上映終了後、DVDを発売する際に、声優の吹替版を収録するためのクラウドファンディングを実施したところ、目標額を上回り大成功となりました。ファンはそれを求めていたことに気づきました」と、学びの多い作品だったことを述懐する。

 失敗の原因を徹底的に考え抜き、トライ&エラーを繰り返し、結果となって表れたのが、2人の青年のひと夏の初恋を描くフランソワ・オゾン監督の『Summer of 85』だった。日本で制作した予告編では、劇中で1人が事故死してしまう事実を隠さずに挿しこんだ。「権利元には『それを言ってしまっていいのか。ほかの国でそんな例はない』と言われました。でも、クロックワークスさんと話し、そのサプライズに興味を持ってもらうのではなく、死を迎える彼との間に何があったのか、という点にフォーカスした方が、きっとお客さんには主人公の気持ちに寄り添ってもらえると思いました。その方が、登場人物たちの純粋な恋や、絵の美しさといった、我々が伝えたいことも、よりはっきりと伝わるだろうと思いました。この戦略は結果的に権利元からも高い評価を頂きました」。

 同社は、今作でオゾン監督の従来のファン層だけでなく、若い人を取り込むことを目標に掲げていた。「大物監督の作品の場合、その監督を目当てに来るファンの比率が高くなる傾向にありますが、本作では、宣伝物をソーシャルメディアで見て、ストーリーに関心を持って来てくれた人が多く、狙い通りの層に来てもらえました。今回のような成功がいつも続くとは思いませんが、これまでうまく行かなかったことの反省をしてきた中での結果だと思うので、単純なラッキーパンチではないと考えています」と手応えを語る。なお、『Summer of 85』の客層調査では、劇場の協力を得て3千人ほどのサンプル数を獲得した。23館の小規模な公開でスタートした作品としては異例の大規模調査となったが、「普段我々がWEB宣伝を請け負う大作と、自社で配給する公開規模の小さな作品はファンの性質も異なり、持っているインサイト(心理)もだいぶ違います。そこを解き明かし、把握できれば、規模の小さな作品でも勝ち筋を見つけられ、自社作品だけでなく、他社も含めて、映画市場の底上げにつながるのではないかと思っています」と、さらなるブラッシュアップに余念がない。


10月22日から公開『ビルド・ア・ガール』.jpg
10月22日公開『ビルド・ア・ガール』


 10月22日に公開する『ビルド・ア・ガール』は、『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』で注目を集めたビーニー・フェルドスタインの主演作。閉塞感のある世の中で、見た人に元気を出してもらえる"青春エンパワーメントムービー"として打ち出す。失敗してもまた挑戦すればいいという、前向きな気持ちが得られる同作は、久保氏がこれまで話してきた企業精神にも通ずるものがある。

 また、タイトル未発表ながら来年前半に1本、時期未定で1本の公開を予定。ほかに交渉中の作品が複数本あるほか、今年7月に公開したフランス映画『シャイニー・シュリンプス! 愉快で愛しい仲間たち』の続編では、製作出資することも決まっている。外国映画に製作段階から参加する姿勢も継続していく考えだ。


(取材・文 平池由典)

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