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ワーナー ブラザース ジャパン 高橋雅美社長 兼 日本代表に聞く

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ワーナー ブラザース ジャパン 高橋雅美社長 兼 日本代表に聞く

2019年07月05日

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高橋氏


 ワーナー ブラザース ジャパン合同会社は、高橋雅美氏の入社から4年、社長兼日本代表に就任して3年を間もなく迎える。

 この間、同社は順調に業績を伸ばしてきた。映画部門であるワーナー・ブラザース映画は、年間興収が3年連続で200億円を突破。洋画と邦画の両輪が噛み合ったラインナップで、以前よりも高水準の安定感を見せている。各部門間の連携も進み、全社的な収益も高まった。人材面の強化もベテラン、若手の双方から進めるなど、会社としての総合力が高まった印象だ。

 こうして国内基盤を固めつつ、米ハリウッドの本社を通じて、「日本」を世界に売り出すことにも大きな力を注ぐ。ワーナー ブラザース ジャパンでいま何が起き、これからどこへ進んでいくのか。高橋社長に聞いた。


邦画、洋画ともにヒット作

──今年はここまで興収10億円超えがコンスタントに出ていて順調な印象です。

高橋 元来ワーナーが大事にしているものは、一流のフィルムメーカーと組んで、質のいい作品をバラエティ豊かに出すことです。これがワーナーのDNAだと言えます。今年も含めここ何年かは、バラエティ豊かな作品が邦画、洋画ともに出てきて、それがヒットし、成果があがってきています。洋画だと、もちろん『ファンタスティック・ビースト』や『アクアマン』などのフランチャイズがあり、それ以外にイーストウッド作品、昨年ならスピルバーグ監督の『レディ・プレイヤー1』や、『MEG ザ・モンスター』『ジオストーム』といったパニックものもありました。

 邦画も当社は長年やってきて、大きな成功を収めたのが『るろうに剣心』ですが、そこからまた新たな時代に入り、洋画同様にバラエティも豊富に揃いました。かつての年間3本くらいの体制から、今は年間8本から10本くらいになっています。一昨年、昨年と大ヒットした『銀魂』シリーズをはじめ、今年も『十二人の死にたい子どもたち』や『雪の華』がヒットし、これからもいろいろな作品が出てきます。邦画、洋画ともに多様な作品が揃っているのは、ワーナーにとって大きな強みです。


今年はDC、ホラー、邦画

──2019年のラインナップをみると、夏に洋画がないことが影響しているかもしれませんが、タイトルの大きさや本数で邦画がより目立つ気がします。

高橋 必ずしも、そうは言えないと思います。これから説明しますが、私は、今年は3本柱だと言っています。DC映画、ホラー映画、それから邦画。この3本柱を伸ばしていく考えです。

──DC映画は、4月に『シャザム!』を公開。2月には『アクアマン』がありました。

高橋 『シャザム!』はまずまずの成績でしたし、『アクアマン』は興収16億円を超えた大ヒットとなりました。この2作品はDC映画の新しさを打ち出し、それが評価されています。DC映画は、『ダークナイト』三部作に代表されるように、作品のクオリティは非常に高いけれどもシリアスで暗いイメージがありましたが、正反対の『アクアマン』が世界中でヒットし、『シャザム!』が続いて、新しい形のDCが浸透してきたと感じています。今年はDC映画がもう1本、10月4日から日米同時公開する『ジョーカー』があります。バットマンの宿敵ジョーカーがどのようにして生まれたかという話で、ホアキン・フェニックスがジョーカーを演じます。監督が『ハングオーバー!』シリーズなどコメディ出身のトッド・フィリップスであることも、楽しみの一つです。

 このように『アクアマン』や『シャザム!』のような軽い、しかもコメディ要素の強い作品から、『ジョーカー』のような重厚なものまで幅広く作れるのが、DC映画の優位性です。今年は、そういう意味で違った持ち味を提示できる、DC映画にとって重要な年だと思っています。


洋画も充実、新たな側面を

──ホラー映画を伸ばしていくということですが。

高橋 ホラー映画は固定ファンが見るという印象が強いですが、例えば『IT/イット “それ”を見たら、終わり。』(17年公開)は興収が20億円を超えました。私は、ホラーの楽しさとは、お化け屋敷やローラーコースターのようなものだと思っています。女の子が怖いと言いながらも、キャアキャア言って、アドレナリンが上がる。ホラー映画も同様です。女子はホラー映画を避けるという先入観があるんですけど、実際は女子の方が楽しんでいるケースが多い。今年もワーナーには素晴らしいホラーがあります。

──5月に『ラ・ヨローナ ~泣く女~』を公開し、9月20日からは『アナベル 死霊博物館』を公開します。

高橋 『死霊館』シリーズはどんどん興収が伸びています。『アナベル 死霊博物館』について製作のジェームズ・ワンが「ホラーのナイトミュージアム」と表現するくらいですから、大いに期待しています。11月1日には待望の続編『IT/イット THE END 〝それ〟を見たら、終わり。』を公開します。今年はこのホラー3本で、若い人たちに新しいホラーの見方を覚えてもらえたらなと思っています。

 ホラーがあって、さきのDCもあってと、それぞれ新たな側面、楽しみを提供できますから、今年は洋画も充実していると言えます。

──3本柱の最後が、邦画ですね。夏は、『Diner ダイナー』『ダンスウィズミー』『二ノ国』の3作品が待機しています。

高橋 日本テレビさんとご一緒している『Diner ダイナー』(7月5日公開)は素晴らしい映画になっています。蜷川実花監督が持っている独創性豊かな美しさと、藤原竜也さんの持っているアクション感がマッチして、エッジの利いた、ちょっと暴力的な、だけど女子も見たくなるような作品です。

 矢口史靖監督の『ダンスウィズミー』(8月16日公開)は、邦画におけるミュージカル作品です。音楽を聴くと体が勝手に動いて踊り出してしまう設定で、我々は「コメディ・ミュージカル」と呼んでいます。ミュージカルとして素晴らしく、コメディとして笑えるし、ロードムービーとしての面白さもあります。矢口監督がオーディションで選んだ主演の三吉彩花さんは、ダンスをものすごく頑張って、今やプロ並みです。今作の出演がきっかけとなって、何本もの出演オファーが来ているようです。

 アニメーションの『二ノ国』(夏公開)は、「妖怪ウォッチ」のレベルファイブ日野晃博社長と一緒に作っています。レベルファイブのRPG「二ノ国」シリーズを映画化します。現実世界である「一ノ国」と魔法の世界である「二ノ国」があって、二ノ国には実は命がつながったもう一人の自分がいる。愛する者のために、どっちを選ぶのかという物語です。日野さんが製作総指揮・脚本・原案を手がけ、監督はスタジオジブリで作画されていた百瀬義行さん、音楽は久石譲さん。一流のクリエーターが集まって、非常に感動的なアニメーションができあがります。


続きは、文化通信ジャーナル2019年6月号に掲載。

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