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アスミック・エース 長澤修一代表取締役社長 “アスミックの成長がJ:COMの成長につながる”

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アスミック・エース 長澤修一代表取締役社長 “アスミックの成長がJ:COMの成長につながる”

2016年12月09日

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 アスミック・エースが、映像やメディア業界における存在感を強めている。2012年3月にジュピターテレコム(J:COM)の傘下に入ってから5年目。従来からの映画を核とした映像事業に加え、オンデマンド事業が大きなウェイトを占めるようになった。この背景にあるのが、グループ内の放送や配信の強固なプラットフォームである。

 9月にはJ:COMの上席執行役員でメディア事業部門長の村山直樹氏が、アスミック・エースの代表取締役会長に就任した。J:COMやその株主(KDDI、住友商事)も含め、グループ全体としてどのような将来図を描いているのか、業界内の関心も高い。

 長澤修一社長(=写真)は、四つの大きな戦略を掲げ、大胆な基軸転換を図り、新しいビジネスモデルを構築すると意気込んでいる。



グループ内での役割が増す

――9月1日付でこれまで非常勤の取締役だった村山直樹さんが代表権のある会長に就きました。村山さんはKDDI出身だそうですが、J:COMメディア事業部門長との兼務になりますね。

長澤 村山は昨年4月にメディア事業部門長に就任しました。村山がメディア事業部門として打ち出している戦略が、コンテンツバリューチェーンのより一層の強化です。メディア事業部門全体をみると、様々な会社・機能があります。コンテンツ(映画、テレビ、配信、パッケージ)の企画や制作、編成や調達、劇場映画の配給、二次利用の販売、出口に関しては今は興行を持っていませんが、ケーブルテレビと配信のプラットフォームがある。そうしたメディア事業部門全体において、当社の役割は非常に大きくなっています。

――といいますと。

長澤 アスミックは映画をはじめとするコンテンツを企画開発し、制作することができます。グループ内のチャンネル(ムービープラス、LaLaTVなど)で放送するコンテンツや、グループのプラットフォームで配信するコンテンツを調達し、それぞれに卸します。映画を含むコンテンツの配給、販売(パッケージ、テレビ権、配信権)もやります。これらが、当社がグループ内で担う役割です。

――J:COM/KDDIグループのプラットフォームというのは。

長澤 J:COMは元々ケーブルテレビのプラットフォームを持ち、ご加入者様向けに映像配信サービス「J:COMオンデマンド」を提供しています。また、KDDIでも映像配信サービス「ビデオパス」を提供しています。メディア事業部門のバリューチェーンの中でアスミックは中核のビークル(媒体)に位置づけられ、その構造上、バリューチェーンの強化にはアスミックの成長が最善の近道になっているのです。村山がメディア事業部門長とアスミック会長を兼務することで、これまでアスミック個社でやってきた戦略とメディア事業部門全体の戦略のフェーズを合わせていき、スピード感を出したり、事業領域を広げたりと、より一層のグループシナジーを発揮していく考えです。

――J:COMといえばメディア事業よりも、ケーブル事業の方が主力という印象があります。

長澤 J:COMとJCN(ジャパンケーブルネット)が合併(14年4月)して、国内ケーブルテレビ市場の過半数のシェアを占めるようになりましたが、今や加入者が右肩上がりで伸びていく状況ではありません。オンデマンド事業も配信事業者が増え、競合が激しくなってきました。そうした中で、J:COMとして目指すのは加入者の囲い込みです。より多くのサービス、魅力的なコンテンツを提供し、どんどん使ってもらうことで収益を上げていこう。つまり、アスミックの成長がメディア事業部門の成長に、さらにケーブル部門を含めたJ:COM全体の成長につながっていく図式です。メディア事業部門の中核を担うアスミックに村山が会長として来たのは、象徴的な人事と言えます。

――村山さんは、ほかのグループ会社でも役員なのですか。

長澤 基本的に、非常勤でグループ各社の取締役に入っています。最近はオフサイトミーティングを開いて、村山を中心に私やチャンネル各社長らメディア事業部門のコアな幹部が集まり、メディア事業部門全体の中期計画の見直しを始めています。個社ベースではなくメディア事業部門全体の中期戦略を考えているので、グループ内での人材の流動化や経営資源の再配置に関しても、俯瞰的かつ長期的に計画が立てられるようになってきました。


調達、販売、制作を一元化

――ここで、J:COMグループとの関わりを整理させてください。J:COMの子会社になったのが12年3月。同年12月に同じくJ:COM子会社のジュピターエンタテインメント(ムービープラスとLaLaTVの運営会社、以下JE)のオンデマンド事業を統合し、グループ内のチャンネル向け、さらには配信プラットフォーム向けの作品調達を担うようになりました。昨年12月にはJ:COM以外のケーブル局向けの配信事業であるIP‐VOD事業をJEから切り離して「みるプラス事業部」を新設。今年4月にJEのコンテンツ制作部を移管した上で、アニメや配信コンテンツといった新規事業セクションだった映像企画部と統合し「コンテンツ事業部」に改称しました。このようにグループ会社にあった機能がアスミックに集約されてきたわけですね。

長澤 JEのコンテンツ制作部の人材・機能を吸収したことに伴い、グループ内の様々な制作を受託しています。ムービープラスのプロモーション映像、LaLaTVの番組、J:COMの研修向け映像、チャンネル銀河やディスカバリーチャンネルの日本語字幕制作などです。こうしたメディア事業部門全体の再配置に関しても、村山と議論をした上で進めています。今ではアスミックがJ:COMメディア事業部門の大半のエンタメ系コンテンツの調達、販売、制作を引き受けています。

――グループ内の調達をアスミックに一元化して、どのようなメリットが生まれていますか。

長澤 調達機能を一元化することで、バイイングパワーが高まり、調達が効率化しました。かつてはチャンネル、配信プラットフォームがそれぞれ自前で調達していましたが、アスミックが放送の権利も配信の権利も一括して買うので売り手にとっても全体の取引額が増えますから、交渉次第でウインドウの前倒しや、今まで以上の数のコンテンツを獲得したりと有利な条件を引き出しやすくなりました。これが調達一元化のメリットです。今はKDDIのビデオパス、J:COMオンデマンドへの配信コンテンツ、それからムービープラス、LaLaTVで放送する番組コンテンツの調達は、アスミックにほぼ一本化しています。

続きは、文化通信ジャーナル2016年12月号に掲載。

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