坂上直行アークエンタテインメント専務取締役 “ヘラルド時代、ヒットの裏に累々たる死体の山”
2015年09月02日
常識破りの宣伝数多あり
日本ヘラルド映画の主な配給作品
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以下、坂上さんが特に印象深かったという宣伝方法を採った作品について、坂上さんの述懐とともに追っていく。
■『トゥルーライズ』(94年)「ジャンボをチャーターして記者、興行者、公募した一般ファンをハリウッドにお連れして、チャイニーズシアターで初の試写会。続いて、向かいにある第1回アカデミー賞会場のルーズベルトホテルでパーティー。ロサンゼルス・タイムズの1面を、日本人一行とジェームズ・キャメロン監督の写真が飾ったのには驚いた。米国版ポスターがコメディ風で、『ターミネーター2』の後だから日本ではアクションっぽいポスターじゃなきゃダメと思い、本国の許可を取らずにポスターを作った。来日キャンペーンの時は劇場に貼ってあったポスターを撤去したけど、翌日、帝国ホテルで先方が『お前を訴える』って。実は予定より1日早く来日し、日本版ポスターを見ていた。仕方ないと思っていたら、映画が大ヒット。当たったのは日米だけ。全世界でコケた。訴える話が立ち消えに。当たったから、お咎めナシだったのかな」
■『レオン 完全版』(96年)「日本に来た『レオン』のフィルムはLAで見た時と違い、マチルダがレストランでワインを飲み酔っ払うシーンが、米国のレイティングによりカットされていた。わずか数分でも、僕にとっては二人が心を許し合う必須の場面。カット版は95年3月に公開するも、完全版の公開を求めてリュック・ベッソンに交渉。会社は当たるワケがない、やめろと反対したが、96年10月、公開に漕ぎ着けた。するとシネセゾン渋谷単館で記録的な大ヒット。今では『レオン』といえば完全版が圧倒的主流だ」
そのほか、『メジャー・リーグ』、『愛人 ラマン』、『フィフス・エレメント』、『ロード・オブ・ザ・リング』の裏話、『氷の微笑』、『WATARIDORI』、『恋人たちの予感』、『太陽と月に背いて』、『陽のあたる教室』、『ロード・オブ・ザ・リング』、『ニキータ』の邦題に関するエピソードなども披露してくれた。詳細は、文化通信ジャーナル9月号「アルバムは語る」コーナーに掲載。