低迷・音楽業界の起爆剤になるか!? ――中森明菜が活動再開
2014年12月06日
ストレスによる免疫力低下で体調を崩し、入退院を繰り返し復帰の目途が立っていなかった歌手・中森明菜が、来年1月に新曲シングルと新録のアルバムを発売し音楽活動を再開することになった。明菜は、2010年10月から無期限で活動を停止してきただけに、活動再開は4年3ヶ月ぶりとなる。しかし、シングル発売となると09年の「DIVA Single Version」以来、実に5年4ヶ月ぶりである。
レコーディングは現在、国内と米国で極秘に行われている。関係者は「年内にも完成させたい」とギリギリの作業を進めているという。
明菜の活動再開は今夏に発売された初のオールタイム・ベストアルバム2作品がCDセールス低迷する中で25万枚を突破したことが最大の要因になっている。CDセールスが深刻化する中、明菜本人が全く登場しなかったにも係わらず25万枚のセールスとなった。オリコン総合アルバム・チャートでも31年7ヶ月ぶりに2週連続2作品同時トップ10入りを果たすなど、異例の結果を生んだ。
明菜は「応援してくれているファンに恩返しをしたい」という思いでいっぱいになったようだ。それが今回のシングルとアルバムの発売のキッカケとなったことは言うまでもない。実に明菜らしい。やはり明菜にとって一番の励みはファンからの声援だ。しかも、明菜の場合は4年以上もの間、活動を停止していたにも係わらずファンクラブの会員数も減っていない。ある意味、ポッと出のアイドル歌手とは比較にならない。「根強い人気」というのは明菜にピッタリだ。
しかも、そのビッグセールスになったベストアルバムの中にボーナストラックとして収録した4年ぶりの新曲「SWEET RAIN」、それにカバー曲「恋の奴隷」(奥村チヨ)と「男と女のお話」(日吉ミミ)のレコーディングも今回のシングル、アルバム制作の自信に結びついた。活動を休止していた明菜にとって、復帰へのリハビリになったようだ。
もちろん、新曲といっても単にアルバムのボーナストラックとして収録するものだっただけに、実際には「手探り状態のレコーディングだった」。だが、今回の新曲はボーナストラックとは違う。シングルと言う1つの商品として発売するものである。つまり、明菜自身も自信を持ってレコーディングに挑んだことになる。
関係者によると、体調も考慮し、今回はレコーディングを含め4ヶ月以上もの制作期間を取ってきたという。だからと言うわけでもないが選曲からアルバムのジャケットに至るまでの全てを明菜自ら手がけることになっている。「年内は新曲とアルバム制作に力を入れていく」という。
注目のシングル曲のタイトルは「Rojo ―Tierra―」。
「Rojo」は「赤」で、サブタイトルの「Tierra」は「大地」を意味している。タイトルから見る限り「明菜の現在の意欲が新曲に込められている」と言っていいかもしれない。曲はアフリカサウンドのダンスミュージックで「明菜のボーカルを前面に出した情熱的な作品に仕上げたい」としている。
一方のアルバム。歌姫シリーズの第4弾カバー・アルバムとしてシングル発売から1週間後の1月28日に発売するもので、タイトルは「歌姫4 ―My Eggs Benedict―」。「現時点で明菜のボーカルを最大限に引き出せるもの」として、カバー曲に特化した〝歌姫シリーズ〟の続編となったという。
選曲を含めたアルバムの基本的コンセプトは「ラブソング」。明菜は「楽曲的には70年代の後半から2000年代の名曲の中から私の心の中に残っている作品を選んでいきたい」と言っているようだ。
収録曲については、レコーディングの状況を見て最終決定するとしているが、すでに「愛のうた」(倖田來未)、「雪の華」(中島美嘉)の他、「長い間」(Kiroro)、「接吻」(オリジナル・ラブ)、「スタンダード・ナンバー」(南佳孝)などの収録が決まっているという。
制作スタッフによると「今回は比較的に新しい作品を選曲しています。最終的には11~12曲を収めることになりそう」とした上で「原曲に引けを取らない、強い歌心が響き渡る〝明菜ワールド〟全開のラブソング集になると思います」と自信満々だった。
プロモーションも含めた活動の再開は来年になる。いずれにしても、明菜の活動再開は音楽業界にとっても大きな起爆剤になりそうだ。
(渡邉裕二)