だいぶ前に、当欄で『アバウト・タイム~愛おしい時間について~』を取り上げましたが(コチラ)、今週末に公開が迫ってきたので、もう一度念押しで書きます。この映画、すごく良いんです。
『ラブ・アクチュアリー』の監督の最新作にして引退作という本作。今回は“タイムトラベル”ロマンスです。主人公の青年(ドーナル・グリーソン)がタイムトラベル能力を持っていると知り、やり直したい過去に戻り、未来を変えていくことを通し、本当に大切なものは何かに気づいていくという物語。
…と言っても、少しボヤッとしててあまり魅力的に伝わらないかもしれませんね。
ポスターでもわかると通り、この映画は青年とヒロイン(レイチェル・マクアダムス)のカップルが主役。青年は、タイムトラベル能力を使って必死にヒロインの前でいい格好をしようと努力します。その姿が滑稽で笑えるんです。時間の行き来で多分に矛盾はあるのですが、あくまでタイムトラベル能力はおまけ的な要素なので、そこはあまり気になりません。
悪いヤツが出てこないので、いらないハラハラドキドキが無いのも良い。未来のストーリーが変わってしまうのは、あくまで青年の過去での行動次第。周りのキャラクターたちは皆魅力的で個性があり、愛着が湧いてきます。
しかし、何より素敵なのは、青年とその父親(ビル・ナイ)の関係です。父親も同様にタイムトラベル能力を持っているため、青年の一番の理解者となり、時間を越えて息子の相談に乗り続けます。そのやりとりが温かくて、切なくも愛おしい感動的なクライマックスに繋がります。ビル・ナイは『ラブ・アクチュアリー』や『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズなどいくつか代表作がありますが、個人的にはこの『アバウト・タイム』が最も印象的な役柄になりました。
9月27日(土)公開。全国50館以上で上映します。