アニメの春、GW興行である。「アナと雪の女王」は、4月20日時点で、興収107億円を突破した。驚くべきは、全く数字が落ちていないことだ。今週で、すでに6週目に入っている作品としては、まずありえないような興行展開になっている。GW興行でも、威力を発揮すると思われる。
さて、そのGW興行であるが、「名探偵コナン 異次元の狙撃手(スナイパー)」と「映画クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん」が、絶好調のスタートだ。4月19、20日の2日間で、前者は動員64万9865人・興収7億8933万2300円(341スクリーン)。後者は29万4599人・3億3893万0200円(329スクリーン)を、それぞれ記録した。
「名探偵コナン」は、前作「名探偵コナン 絶海の探偵」(2013年4月、最終興収36億3千万円)の117・5%。「クレヨン」は、前作「映画クレヨンしんちゃん バカうまっ!B級グルメサバイバル」(2013年4月、同13億円)の150・4%と、飛躍した。とくに、後者の50%増というのに、目を見張った映画関係者が多かった。
「名探偵コナン」は、正月に公開された「ルパン三世vs名探偵コナン THE MOVIE」(推定42億3千万円)効果が大きいとみる。この作品は、ふだん「名探偵コナン」を見に行かない多くの人まで集客した。この興行により、新作の「名探偵コナン」への関心の度合いが増したのだ。今回、一段と客層が幅広い。年齢が上がっているのだ。「ルパン三世~」効果とは、このことである。
それと、ストーリー展開の新しさを挙げたい。これまでテレビシリーズでは登場していたキャラクターが、映画で初めて姿を現した。こうしたことが、コナンファンの気持を一段とくすぐる。常に、何らかのテコ入れが行われている。このシリーズの強さである。この23日、前作より3日早く、10億円を超えた。
ストーリー(及びキャラクター)のテコ入れといえば、「クレヨン」も同様だろう。東宝のアンケート調査によると、「ロボとーちゃん」への関心が、今回大きかったという。父ヒロシとしんのすけの“絆のドラマ”に期待を寄せたとも言えそうで、こうしたいくつもの工夫が、「名探偵コナン」と同じく、シリーズマンネリ化を防ぐ興行のバネになっているのだろう。
アニメ、アニメ、アニメである。以上の3作品に、続映中の「ドラえもん」を加えたら、アニメの興収シェアはとんでもないものになる。アニメに罪はないが、果たしてこれでいいのかと思う反面、この日本の特殊事情は実に興味深い。実写作品の話題作が目白押しとなる今週からは、そんなこともなくなるだろうが。
(大高宏雄)