閲覧中のページ:トップ > コラム > 放送デスクコラム >

堺雅人と沢村一樹、九州男児2人がドラマで大活躍

放送デスクコラム

最新記事

堺雅人と沢村一樹、九州男児2人がドラマで大活躍

2013年07月16日

 7月期ドラマがスタート。獲るべき作品が高視聴率をマークし好発進した。その中、TBS「半沢直樹」とテレビ朝日「DOCTORS2 最強の名医」の2作品がともに初回19%台とリードする。

 堺雅人主演「半沢直樹」は7月7日(日)初回19.4%、2回目(7月14日)は21.8%と大台を超えた。これまで数ある企業ドラマの中でも指折りに入るのではと思うほど、人間模様を繊細かつダイナミックに魅せ、数字以上の作品と評価したい。銀行の内幕を描きつつ、融資先の計画倒産の策略と、銀行組織と闘う様は、「やられたら倍返し!!」のセリフに込めて一級の娯楽作品に仕上がっている。多くの視聴者がこんなドラマを待っていたのではないだろうか。同じ池井戸潤原作で7月13日(土)スタートしたNHK「七つの会議」(初回6.1%/全4回)も企業エンターテイメントとして好評だ。中堅電機メーカーの営業マンを白髪まじりの等身大の姿で好演する東山紀之が、謎めく企業の闇にじっくり迫る展開で視聴者を惹き込む。どちらも秀逸で、比較できないが、「半沢直樹」は爽快感の点で大衆に受け入れられているようだ。

 一方、沢村一樹主演「DOCTORS2」は初回(7月11日)19.6%の高数字。第1シーズンは2011年10月期に放送し、13%~15%の推移にあったが、最終回に18.5%を記録した。人気脚本家の福田靖がリアルな医療の姿を描き、病院再生のストーリーが人気を呼んだ。同時期に放送され、驚異の視聴率40%で一世風靡した日テレ「家政婦のミタ」の陰に隠れていた感もあるが、続編要望の声高く、今回第2シーズンが実現した。第2シーズンは固定したファン層がつき数字に表れ、テレ朝はまた一つドル箱シリーズをものにしたようだ。脚本の福田靖は一連のフジ「救命病棟24時」を手掛けており、医療現場の舞台裏をよく知るだけに説得力を持つ。ちなみに今回のフジ新作「救命病棟24時」(第5シリーズ)の脚本は第1シリーズで数話担当した飯野陽子が手掛けている。

 「半沢直樹」も「DOCTORS2」も、その人気は原作・脚本に依るところが大きいものの、やはり何と言っても堺雅人、沢村一樹、それぞれ主演の演技が光っている。融資課長演じる堺は、5億円騙し取られて崖っぷちに立ち、理不尽な上司に「取り返してやる!」と啖呵を切る。スーパー外科医役の沢村一樹はひょうひょうとしながら内に秘めた信念で病院をめぐる問題に鋭く切り込んで打開へと導いていく。両者ともドラマで男気を見せるのが共通している。どちらかと言えば、2人とも見た目は線が細いキャラ。その印象からのギャップが人気の要因の一つになっているのでは、と思いきや、堺は宮崎県出身、沢村は鹿児島県出身と2人とも九州男児。元からある男気が画面ににじみ出ているのかも。

 堺というと、2001年辻仁成原作をドラマ化したテレ朝「嫉妬の香り」(川原亜矢子主演)で見せた、頼りな気でストイックな役柄が強く印象に残っている。その後も、微笑みか泣き顔かの表情と、声の高さをもって気弱なキャラクターが多かったように思うが、近年は映画・TVで大活躍、TBS「官僚たちの夏」では官僚戦士を演じ、主演のフジ「リーガル・ハイ」でははじけた弁護士役でぶっ飛ぶなど、幅広いキャラを演じて人気だ。

 一方、沢村一樹は、今回復活した「ショムニ」の10年ほど前に演じた、人のよい、ひ弱そうな警備員役を記憶する人も少なくないだろう(ちなみに、フジ新作「ショムニ」の警備員は森本レオに変わった)が、その後はTBS「浅見光彦シリーズ」はじめ数多くのドラマに出演し、バラエティでは下ネタトークも売ってそのキャラを確立している。2人とも連続ドラマの主演をはるようになり乗っているようだ。

 視聴率好調のテレ朝は「DOCTORS2」でさらに弾みをつけることになり、辛酸をなめてきたTBSは「半沢直樹」を浮上のきっかけに「倍返し」となるか。「なるようになるさ。」も16.9%で好発進して期待される。一方、前4月期ドラマが好調だったフジは、「SUMMER NUDE」「救命病棟24時」「ショムニ」の初回が17%~18%台と好スタート。日テレも「斉藤さん2」が15.5%と上々のスタート。猛暑続く中、混戦模様の7月期ドラマも熱い。

(戎 正治)

関連記事

過去のタイトル一覧

2016年

12月

2015年

1月│ 2月│ 3月

2014年

2月│ 3月│ 6月│ 8月

2013年

1月│ 2月│ 3月│ 4月│ 5月│ 6月│ 7月│ 8月│ 9月│ 11月│ 12月

2012年

1月│ 2月│ 3月│ 4月│ 5月│ 6月│ 7月│ 8月│ 9月│ 10月│ 11月│ 12月

2011年

1月│ 2月│ 3月│ 4月│ 5月│ 6月│ 7月│ 8月│ 9月│ 10月│ 11月│ 12月

2010年

10月│ 11月│ 12月