東映の『仮面ライダー』シリーズの興行成績に陰りが見えてきた。
現在の『仮面ライダー』は、2001年9月公開の『劇場版 仮面ライダーアギト PROJECT G4/劇場版 百獣戦隊ガオレンジャー 火の山、吼える』(興収12億7千万円)を第1作にスタートした “平成仮面ライダー” と呼ばれ、現在上映中の『仮面ライダー×スーパー戦隊×宇宙刑事 スーパーヒーロー大戦Z』(推定興収10億円)まで28番組が公開された。昨年12月公開作品までの27番組の累計興収は315億1900万円を超え、テレビ、劇場用映画、そして版権ビジネスと文字通り同社の絶好調の経営を支える看板ヒットシリーズ。
興収19億円の大ヒットを記録した2009年8月公開の『劇場版 仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー/侍戦隊シンケンジャー 銀幕版 天下分け目の戦』をピークに、昨年8月公開作品『劇場版 仮面ライダーフォーゼ/特命戦隊ゴーバスターズ』(12億7千万円)、昨年12月公開作品『仮面ライダー×仮面ライダー ウィザード&フォーゼ MOVIE大戦』(興収11億9千万円)と1作ごとに下降線をたどり、今作が10億円台に止まりそうなのだ。
ここ数年の “仮面ライダー” は年間3番組が公開されている。8月公開作品が “戦隊シリーズ” との2本立てで、 “ライダー” は前年9月にスタートしたTVシリーズの劇場版であり、12月公開作品はTVの前年と新シリーズのダブルライダーもの。4月公開作品が平成ライダー10周年で大成功を収めた “オールライダー” ものと、それぞれ特色を持った番組となっているが、年間3番組公開がファンから飽きられてきたのではないか。
そして、昨年8月公開作品は宇宙を舞台にしているのだが、11年から12年にかけてFOX、東映、松竹の3社で競作された “はやぶさ” 映画が興行的に失敗したように、中途半端な宇宙ものがファンから支持されなかったのではないだろうか。
いずれにしろ、年間3番組公開を含めて内容面の見直しは必至である。かつて東宝が、下降線をたどった “ポケモン” “ドラえもん” を見事にカムバックさせたことがあり、どう東映が “仮面ライダー” を復活させるか、期待したいものである。
(取締役会長:指田 洋)