アニメの強さは、本物と言えるようヒットが続いている。定番アニメと単館系のアニメ双方で、安定感だけではない強さが垣間見える。
先の春興行では、「映画ドラえもん のび太のひみつ博物館」(最終40億円見込み)、「ドラゴンボールZ 神と神」(同30億円見込み)、「シュガー・ラッシュ」(同28~29億円)が、興収上位3本を占める勢いで、その “流れ” が、GW興行を視野に切れた作品でも、依然健在なのである。
定番組では、「名探偵コナン 絶海の探偵(プライベート・アイ)」が、好調スタートを切った。4月20、21日の2日間で、全国動員56万5914人・興収6億7154万8700円を記録。これは、昨年の前作「名探偵コナン 11人目のストライカー」(最終32億9千万円)の106.6%の興収だった。最終30億円の可能性はある。
さらに同日公開で、「劇場版シュタインズ・ゲート 負荷領域のデジャヴ」が、大ヒットの出足を見せた。これはちょっと驚くような成績で、20、21日の2日間で5万7634人・8682万2800円を記録した。これだけ見ても、何ということはないが、公開が何と18スクリーだけなのである。1スクリーンでは、482万3489円のハイアベレージだった。
くどくなるが、数字を続ける。劇場別では、メイン館の角川シネマ新宿が、土日全12回上映がすべて満席で、2日間で3574人・602万0700円。平日も満席の回が出ており、27日までの1週間では、週計新記録となる1600万円前後を見込む。
TOHOシネマズ川崎では、土日2日間だけで1200万円。横浜での上映がないこともあるが、この成績はたいしたものだ。全国では20~22日までの3日間で、早くも1億円を超えた。
定番作品、単館系マーケットのアニメともが、それぞれの興行キャパシティにふさわしいか、あるいはそれ以上のスタートを切っている。前者より、後者のほうが、より今日的なアニメの興行の形だとは言える。ゲーム、テレビアニメなど、多メディアを介しながら、関心の度合いが増し、劇場版でその勢いが集約されたからである。
原作ファンだけではなく、いわゆるライトなアニメ全般に関心のある層も集客しているというから、原作などの面白さの伝播力たるや、相当なものだろうと推測される。これは、スタート時だけのものなのか。持続力があるのか。持続力があれば、どこまで客層の広がりがあるのかにも注目していきたい。
コア層中心の興行と簡単に言うが、もはやそうした言い方では、単館系のアニメの動向はくくれない。ある確かな広がりをもつ一つの興行ムーブメントになりつつあると、私は思っている。
(大高宏雄)