民放ラジオ全100局が “ラジオ再価値化プロジェクト” を立ち上げた。ラジオ業界を活性化させるため、改めて広く社会にラジオの持つ価値を知ってもらう活動を民放ラジオ全局が一体となって取り組む。
その幕開けとして、今から28年前に民放ラジオが初めて国立競技場で開催した、吉田拓郎や松任谷由実など豪華アーティストが出演した野外音楽フェスティバル『国際青年年記念 ALL TOGETHER NOW by LION』の模様をGWに放送する。
「国際青年年」を記念して開催されたこの大規模イベントは1985年(昭和60年)6月15日、およそ6万3千人の観客を集めて行われた。出演者は、アルフィー、アン・ルイス、イルカ、オフコース、加藤和彦、後藤次利、財津和夫(チューリップ)、坂本龍一、サザンオールスターズ、さだまさし、佐野元春 with The Heartland、白井貴子、高中正義、高橋幸宏、武田鉄矢、チェッカーズ、はっぴいえんど(大滝詠一、細野晴臣、松本隆、鈴木茂)、ブレッド&バター、松任谷由実、南こうせつ、山下久美子、吉田拓郎、ラッツ&スターら当時の日本音楽シーンを代表する23組。今なお一線で活躍するアーティストが勢ぞろいした、大規模な野外音楽フェスティバルの草分け的イベント。
民放ラジオが総力をあげ、当時なかなかラジオ以外のメディアやイベントに出演しなかった人気アーティストをまとめ上げ、イベントを成功に導いた。後日、民放ラジオ(当時64局)で放送した。当日限りのコラボレーションなども多く演奏され、まさに夢のような機会を来場者・リスナーに与えた。
今回、この貴重な音源が見つかり、プロジェクトの目玉第1弾として企画し、28年ぶりにあの感動、興奮がこのGWに蘇る。AM局、FM局がそれぞれの特色を生かした2バージョンの内容を制作し、民放ラジオ特別番組『ALL TOGETHER NOW 2013 by LION』として5月4(土)と5日(日)どちらかの日程で全100局で放送する。放送時間は各局で異なる(1時間予定)。当時イベントを協賛したLIONが今回番組協賛する。
首都圏の放送は▼5月4日 インターFM10時35分、ニッポン放送13時、文化放送20時、NACK5 20時、ラジオ日本21時、J‐WAVE 21時、TOKYO FM 22時、ラジオNIKKEI 22時、▼5月5日 TBSラジオ20時、FMヨコハマ20時、bayfm 21時。
なお、番組出演者を含む特別番組の詳細は4月24日の記者発表会で改めて発表する予定。また、放送に先立ち、当時のイベント関係者や出演者と一緒に振り返る “事前リスニングイベント” を4月29日(月、祝)ニッポン放送イマジンスタジオで開催する。参加するリスナー100名募集して行う。
ラジオの収入は15年前の約半分に落ち込み、広告費は2001年より12期連続前年割れ、ラジオに毎日接触する人はこの25年減少傾向(「ほとんど・全然聞かない人」は16~29歳で68%)という厳しい状況が続き、とりわけ地方局は深刻な状況。AMは送信所更新費用負担と難聴問題を抱え、その解消に向けて検討されるFMへの移行、さらには業界全体の課題にある統合・合併による事業再編が謳われている。折しも、全局でのV‐Lowマルチメディア放送参入を断念し、エフエム東京らを中心に同放送実現に向けて本格的に動き出した。ラジオ業界大転換の時代を迎える。
今回の特別番組は、当時の音源を蘇らせ、会場に足を運んだ人、全国各地で放送を聞いたリスナー、そして現代の若い人たちに、イベントを生み出した “ラジオの魅力” を伝えたいとの思いが込められている。一方で、ラジオ局自らがラジオの力を再認識するための企画にも見える。ラジオ再価値化に取り組む序章と言えそうだ。