このドラマのDVDを販売するジェネオン・ユニバーサルは、7ヵ月も前にマスコミ向けに試写会を行うなど、並々ならぬ意気込みでPRに取り組んできた。なんでも「HEROES/ヒーローズ」以来の超期待作なんだとか。
…と言っても、山のようにリリースされる新作海外ドラマの中にあって、「SMASH」はほかのドラマとどう違って、どこが凄いのか? “スピルバーグ渾身”と言われても、彼が製作総指揮を務めるドラマは「SMASH」以外に「フォーリング スカイズ」や「テラノバ」、「ザ・パシフィック」などがあり、最近少々乱発気味。本当に力が入ってるの?と勘ぐってしまう…。
そこで、このドラマを担当している女性宣伝マン・高田和子さん、田中乃美さんの2人に、「SMASH」の凄さと魅力について聞いてみた。
スピルバーグが本気!5年もかけた企画 ――「スピルバーグ製作総指揮」という謳い文句は最近けっこう多いですが、「SMASH」にはどんな形で関わっているのですか? 名前貸しだけだったりするのでは・・・。
高田(写真左) 私たちもそれは気にして、スピルバーグがどれだけこのドラマに関わっているのか、色々リサーチしたんです。ところが、調べれば調べるほど、「スピルバーグが本気だ…」ということがわかりまして…。
田中(写真右) 企画を成立させるのに、5年もかかったそうですよ。
高田 彼の話では、「自分は映画のことはよく知っている。けど、ニューヨークのブロードウェイのミュージカルは知らない」ということで、どうやってミュージカルが作られていくのか、興味津々でブロードウェイの舞台裏の取材を始めたらしいんです。彼が原案を考え、資金調達も自分で行い、ドリームワークスにプレゼンしたりと、企画成立に向けて奔走していたようです。
田中 当初、アメリカではケーブルテレビで放送予定だったんです。けどNBCユニバーサルがスピルバーグの本気度を買い、地上波NBCでの放送に変更しました。当然予算もアップし、第1話は、CGを使っているわけでもないのに製作費6億円もかけています。スピルバーグは撮影現場にもちょくちょく顔を出しているそうで、本当に愛情を注いでいると感じます。
『ヘアスプレー』スタッフによる音楽が凄い――なるほど、スピルバーグはマジなんですね。ところで、ミュージカルドラマと言えば「glee/グリー」や「ハイスクール・ミュージカル」などを思い浮かべますが、「SMASH」はそれらと違うんですか? 田中 そもそも、「ミュージカルドラマ」ではないんです。ミュージカルの舞台裏を描く「ドラマ」であって、ミュージカルドラマの特徴である、台詞の最中に突然歌い出したりするシーンはありません。ただ、そうは言っても「SMASH」の最大の見どころは音楽とダンスなので、そこは期待してください。
高田 マーク・シェイマン、スコット・ウィットマンのコンビが音楽を手掛けているのですが、彼らは映画『天使にラブソングを…』や『ヘアスプレー』などの名作の音楽を手掛けてきた実力派で、「SMASH」でも凄いんです。シーズン1だけで、オリジナル楽曲は20曲以上あります。クリスティーナ・アギレラなどのカバー曲も20曲あり、サントラとして観るだけでも楽しめてしまいます。
――ちなみにオススメの曲はありますか? 田中 私は、第1話の最後に歌われる「Let me be your star」が好きですね。ライバルの2人の女優が歌い上げるシーンで流れる曲ですが、何度観ても鳥肌ものです。グラミー賞にもノミネートされたぐらいですからね。
高田 私もその曲が好きですが、あと最終話で歌われる「Don’t forget me」もマリリンの心情を表現していて、聴いているうちに泣いてしまいました。
田中 音楽も素晴らしいですが、ダンスも、これまで30本以上のミュージカルに携わってきたジョシュア・バーガッセが振付を担当していて迫力十分ですよ!
カレンVSアイヴィーに大女優も乱入――肝心の登場キャラクターについて全然聞いてなかったですが、主役は誰なんですか? 高田 舞台の主演をかけて争う2人の女優、カレンとアイヴィーです。カレンは田舎から出てきたブルネットのお嬢様。まだ新人で、挫折などを知らずに自分に自信を持って進んでいくタイプ。一方のアイヴィーはすでにブロードウェイでの実績は十分だけど、主役級の役をもらったことがなく、主演をギラギラと狙っているタイプで、ブロンドヘアーの派手な女性。見た目も性格も異なる2人がマリリン役をめぐって競争するのが面白いんです。
田中 カレン役は、「アメリカンアイドル」で準優勝したキャサリン・マクフィー、アイヴィー役は実際のブロードウェイ女優のメーガン・ヒルティが演じています。
高田 たぶん、多くの人はまずカレンを「頑張れ!」って応援したくなるんじゃないかな。いつも前向きで、自分に自信を持っているけどそれがイヤミじゃない。はじめは田舎っぽいカレンが、どんどん綺麗になっていく様子も見ていて楽しいですよね。
田中 一方のアイヴィーは、役のためなら手段を選ばず、イジワルもする。肉食系なんですね。けど、彼女は父親がいなくて、母親は大女優。でも親の七光りを受けずに頑張ってきた。親の愛も知らず、ボーイフレンドもいない。孤独で愛に飢えているというのが、わかってくるんです。すると、徐々にアイヴィーにも肩入れしてしまう…。なので、「どっち派」とは言えないんです(笑)。両方とも応援したくなる。カレンは日本人好みのルックスで、声も素敵。アイヴィーはいかにも「マリリン・モンロー」って感じです。
――ユマ・サーマンも出演しているとか。田中 実は彼女が第3のヒロインなんです。ドラマの中盤からは、ユマ・サーマンも加えた3人の女優が主演を争っていく展開になります。カレンとアイヴィーを中心にマリリン・モンローの舞台が出来上がっていく中、製作陣からは「(カレンとアイヴィーのような)無名の女優が主演で本当にいいのか?」と疑問が上がり、急遽ネームバリューのある女優を起用する案が挙がります。
――カレンとアイヴィーが可哀想・・・田中 そこで登場するのが、ユマ・サーマン演じる大女優のレベッカ。映画スターの起用で製作陣は胸をなでおろすんですが、実はレベッカにはひとつ難が…。なんと「歌がヘタ」なんです。
高田 ユマ・サーマン自身は、ミュージカル映画『プロデューサーズ』に出てくるぐらいで、歌は上手なんです。でも歌がヘタな演技をするのが面白い(笑)。レベッカの歌に周りがドン引きするシーンは笑ってしまいますよ。彼女の登場は第10話からですが、天然キャラで現場をかき乱していきます。でも、ファッションが洗練されていて、カレンやアイヴィーとはまた違う魅力があります。
――3人の対決は見物ですね。結局誰がマリリン役をゲットするんですかね…。ところで、実際にこのドラマを観た人の反応はどうですか?田中 ライターの方からは、「一気に観たい!」と高評価ですよ。音楽も踊りも本物なので見ごたえがあるようです。「出てくる男性キャラがイヤなやつばっかりだね~」という面白い感想もあります(笑)。何より、本場ブロードウェイで活躍する人たちから、「私たちのドラマだ!」と太鼓判をもらっているのが心強いです。
――では、最後にこれから観る人へひと言ずつお願いします。田中 「セックス・アンド・ザ・シティ」「ゴシップガール」に続いて、女性にオススメしたい作品です。まずは気軽に第1話を観てほしい。絶対にその世界に惹かれます!
高田 観たら語り合いたくなるドラマ。パワーをもらえる作品で、自分も「頑張ろう!」と前向きになれる作品です!〈了〉
「SMASH」4月5日よりDVDリリース
価格:VOL.1(1~2話収録) 1,500円(税込)/DVD-BOX(3~15話収録)7,140円(税込) ※vol.1~8(全15話)同時レンタル開始!
発売・販売:ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメント
公式サイト:
http://www.smash-tv.jp/(文・構成:平池 由典)
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