東映が大幅な役員人事を実施中である。TOHOシネマズ社長交替など4月1日付の東宝人事が発表された直後、東映の岡田裕介社長が「うちもやるからな」と社内に公言したとのことだが、その先駆けとなったのが5月24日に開示された東映アニメーションの社長交替を含む役員人事である。高橋浩社長が代表権のない会長に退き、55歳の高木勝裕常務取締役が代表取締役社長に就くのをはじめ、西廣太郎(専務取締役)、大山秀徳(常務取締役)という東映出身の大ベテランが総退任するという大幅な若返りを図るというもの。
これは、昨年岡田茂名誉会長が亡くなり、岡田氏を支えてきた髙岩淡(東映)、泊懋(東映アニメーション)両相談役が今年のそれぞれの定時株主総会で退任するのを機に、岡田社長が名誉会長ら先任者に気兼ねせずに初めて役員人事を手掛けることになったものと見られる。
東映は5月29日に役員の内定人事を発表。椎名康夫、堀田耕二、村松秀信、與田尚志、手塚治、白倉伸一郎の6執行役員がそれぞれ取締役に就き、間宮登良松(常務取締役)、石川芳彰(取締役相談役)、加藤貢(取締役)、奈村協(取締役)、高井徹(取締役)の5氏が退任する(6月28日の定時株主総会で正式決定)。新任取締役は60代を超えている椎名、堀田両氏を除けば、40代半ばの白倉氏から50代前半の村松、與田、手塚の3氏と数年前の同社では考えられない若さであり、60代半ばで取締役が退任するというのも異例といえよう。
また、関係会社ではティ・ジョイが6月14日に役員の内定人事を発表した。同社は岡田裕介東映社長が代表取締役社長を兼務しているが、2000年の創業時から事実上経営を手掛けてきた與田尚志常務取締役と中途入社でシネコンの開発を担当してきた伊東敏一取締役(興行部担当)が退任する。與田氏は東映の取締役として本社に専念し、伊東氏は東映に入社する。同社は6月25日の株主総会で新たな役員人事が出ると見られているが、今後は大河内太加至(総務部長)、小俣充(経理部長)、江口徹(興行部長)、紀伊宗之(エンタテインメント事業部長)の新執行役員が事実上、経営に当たっていく。
(代表取締役社長:指田 洋)