BSパワー調査のルールがなくなる日は
2012年01月26日
民放BS放送の接触率調査「BSパワー調査」にはあるルールがある。調査は年6回、偶数月に1週間実施しているが、その調査期間中、“特別な編成はしない”というルールを放送事業者間で取り決めている。調査は2005年6月からスタートした。当時、普及世帯数はようやく1,000万世帯(2005年8月)に達した頃で、十分なデータが得られない状況の中、かつ広告営業に活用する指標として、BS放送の平均的な視聴データを得るべく、そうしたルールを決めた。その月に大イベントがあれば、それを外して調査週をずらすこともある。その姿勢は今も変わらず、文字通り、BS放送の普段のパワーを捉えようというものだ。なので、調査期間中に普段はしないような編成をしないことにしている。
ところが、ある局でルール違反があった。親局である地上波のスペシャル番組の相乗効果的な編成として、調査期間中、それに関連した地上波の過去のスペシャル番組をラインナップしたのだ。結果は高接触率を獲得、全体平均の数字も押し上げて、その局はトップとなった。その局は前の回の調査でもルール違反的な編成をして数字を上げていた。それだけに、今回ばかりはまかりならんと各局が憤慨した。あきらかにルール違反と認められたからだ。結局、その局は謝罪することになる。そして、トップというランキングは無効、公言できないものとなった。スポーツで言えば〝ドーピング〟みたいなものと批判する声もある。おそらく、こうしたことは初めてのケースで異例だ。
その局は親局との関係性もあって気の毒な面もなくはないが、いま、各局間の競争が激化し、その中でも、ルールを守っていた局からすればおもしろくなく思うのは当然だろう。後味のわるいものとなった。
いま、その調査をさらに充実させようと検討している。BS放送の普及は高まり、視聴者が着実に増えて、広告主の視聴データを求める声が一層高まっているためだ。もちろん編成面でもさらに活用しようと。ただ、より精度を高めた調査をすれば、現在の数値よりも低いデータが出ることになるだろう。それを踏まえながら前向きな検討がなされている。
コストとの兼ね合いもあるが、データが充実してくれば、当初作ったルールを見直すことも今後考えられていくだろう。そうしたルールがなくなれば、時期に縛られず自由な編成となる。その時は番組にさらに力がついた時でもあり、誰もがそれを願っている。さて、各局の4月改編はどんな編成をするのか。新BS放送の登場で競争激化する中でもあり注目される。本日26日のBS‐TBSを皮切りに、民放系BS各局で4月改編の広告会社説明会が始まる。
(戎 正治)