垣根超えたＣＳと地上波の異例コラボ、ＬａＬａＴＶとフジテレビ

　往年の人気トレンディドラマを多数手がけたフジテレビの栗原美和子プロデューサーがＣＳ放送の「ＬａＬａＴＶ」をプロデュースし、この１月から“女性チャンネル”のコンセプトをより打ち出してリニューアルした。イメージキャラクターに俳優の市原隼人を起用し、ファッション誌を飾るようなイメージ映像が番組の合間に随時流れ、大人の女性層を惹きつける戦略を明確に打ち出している。

　ＬａＬａＴＶは、住商系のジュピターテレコム（Ｊ：ＣＯＭ）の子会社、ジュピターエンターテインメント（中谷博之社長）が運営するＣＳ放送局。フジテレビとは、特に大きな資本的関係もなく、異例のコラボレーションとして業界で注目されている。中谷社長の提案を受けて実現した。

　栗原氏がＬａＬａＴＶのエグゼクティブプロデューサーとして昨年８月から参画し、生まれ変わったチャンネルは、この１月から新企画を続々と発進。放送作家の鈴木おさむ、つんく♂、日経エンタテインメント編集委員の品田英雄の３氏による、本音の連続ドラマ徹底討論番組「ＴＨＥドラマカンファレンス」や、応募者自身が主役となるドキュメンタリー「あなたがヒロイン」等々。２月には、ＣＳ放送「フジテレビＴＷＯ」とコラボレーションし、80年代～90年代のフジ人気ドラマを続々放送するトレンディドラマフェスティバルを展開、加えて、ブームを牽引した浅野ゆう子、陣内孝則、柳葉敏郎ら俳優とスタッフが集って、製作秘話など爆笑トークの特番「トレンディドラマの裏側全て語っちゃいますＳＰ」も放送する。他に、オリエンタルラジオＭＣによる若いカップルのＬＯＶＥ＆ＳＥＸ相性鑑定トークバラエティ、モデル有村実樹が登場するドラマ仕立ての情報バラエティ・ファッション誌編集部物語、５月スタート予定で山口智充、Ｋ‐ＰＯＰアイドルＳＭ☆ＳＨによるママ＆キッズバラエティ番組を編成する。

　地上波プロデューサーの起用、人気俳優のイメキャラ起用、オリジナル番組の積極展開などなど、これまでとは違う姿勢だ。今後、地上波で相当なスポット展開も検討している模様で、まだまだマイナー感があるＣＳ放送のステージアップに意欲的だ。

　ＣＳ放送界は今年、チャンネル事業者にとって真に分岐点にある。現在、総務省で認定審査中にあるが、加入数が順調に伸びている１１０度ＣＳ放送（スカパー！ｅ２）でチャンネルＨＤ化出来るか、新たに放送参画できるか、さらにＣＡＴＶの新パックに参加できるか否か、それが今後のＣＳチャンネルの分かれ道にある。新ＢＳ登場による危機感もある。その中で、ＬａＬａＴＶは今年勝負に出た。完全デジタル化の地上波、新登場するＢＳ放送、すべての“放送”体制が今年、整備・出揃う。ＣＳ放送も本格競争の新たなステージに移ろうとしている。

（戎　正治）