自ら喋ったことを「信じて欲しい」と話した島田紳助氏。親密でない暴力団幹部との交流関係、後輩への示しという引退決意の理由。ただ、その23日夜の電撃的な引退会見だけでは疑問は残る。整理がつかず、様々な憶測を呼ぶのは仕方がない。
その中、気になるのが、十数年前に暴力団幹部とつながるキッカケになった関西のローカル番組「紳助の人間マンダラ」。番組内の発言で右翼団体とトラブルとなり、友人を介してその暴力団幹部が解決したと報じられている。
ある放送関係者は「それなら当時のテレビ局幹部か番組責任者は事情を知っているでしょう。間接的ながら島田さん側で解決した話になるが、テレビ局の対応はどうだったのだろうか」と、そこがまだ不明な点と話す。「変に飛び火しなければよいが…」とも。
なぜ即引退なのか。そんな疑問を抱くのは当然に思われる。ほかにも選択肢はあったが、自身の美学を選んだという。だが、テレビ局はじめ各関係者に多大な迷惑をかけてまで引退するからには何かあるのかと探られてしまう。テレビ局は激震し、時間もなく改編間近の緊急事態にあって番組差し替え、代役、今後のイベント等の対応に追われている。CMの打ち切りも決まった。やはり、その計り知れない影響の大きさゆえだ。
警察が捜査で知り得た上で関係者であるテレビ局にモノ申すケースがあると聞く。数年前、テレビ局は問題が見られた主催会社との契約を打ち切り、人気スポーツイベントの運営を取りやめたことがあった。その際、そうした働きかけがあったとも云われている。今回もそれに似たケースがあったのではと見るものもいる。事務所のよしもとサイドはどの程度まで事情を知っているのか。今回導かれた引退の結末に至る経緯はどういうものだったのか、興味を持つ人は少なくない。
TVレギュラー6本を抱えた大物人気タレントの引退。ファンを含め、彼の番組から育ったタレントや、後輩芸人たちの惜しむ声は多い。だが、突然の事態だけに疑問も交錯する。しばらくは憶測が飛び交うが、既に友人や暴力団幹部の名前は実名で報じられ、メールのやりとりだけでなく、手紙もあったと伝えられている。何が真実か、それを確かめようとしている。会見から数日、整理されるにはまだ時間がかかりそうだ。
(戎 正治)