大人の名作ドラマ「ウルトラマン」シリーズが45周年
2011年08月04日
ウルトラマンシリーズが45周年を迎えた。「ウルトラマン」「ウルトラセブン」は夢中で見ていたが、子供心にどこか不思議な感覚を抱いていたかもしれない。勧善懲悪なヒーローもののようで、登場する宇宙人たちが本当に悪者なのか?という違和感があったからだろう。とくにウルトラセブンによく散見された。それが大人の、人間の矛盾した世界観だったことに、後に気づかされる。
沖縄出身の脚本家金城哲夫が、侵略された琉球・沖縄、米統治下の沖縄の苦しむ想いを重ね合わせて訴えていたと諸説云われている。代表的な例として「ノンマルトの使者」の内容がとかく取り上げられる。地球の先住民であるノンマルトたちが人間たちの侵略によって海底人として生きてきたが、海底開発のために再び脅かされたノンマルトたちが人間たちに反撃するというストーリー。結局、ノンマルトたちは滅ぼされてしまう。侵略者は誰か、正義とは?を問いかけたと。
ただ、金城氏自身がどれほどその想いを抱えていたか、実際は定かでなく、後の憶測が拡がった感も否めないが、沖縄の事情をストーリー作りに投影したのは確かで、名ライターだったのだ。
後に、ウルトラマンを誕生させたスタッフたちを描いた単発ドラマ「ウルトラマンをつくった男たち」が放送された。原作者である実相寺昭雄監督役を三上博史が演じて高視聴率を獲得した。多分に脚色され、製作の中核だった金城氏の出番も少なかったのが残念だったが、このメイキングドラマによって、子供向けのヒーローものが大人のドラマとして一般に甦る走りになったように思う。
そんな大人のドラマだから、最終回、ダンがアンヌに正体を明かす場面は名シーンとして刻まれている。負傷して再びセブンとして戦えば生命が危険なダン。そうとは知らず気遣うアンヌにダンが遂に告白する。「僕は、僕はね、人間じゃないんだ。M78星雲から来たウルトラセブンなんだッ」。その瞬間、シューマンのピアノ演奏が劇的に流れ、無数の白い光をバックに、アンヌのシルエットを映し、その髪がなびく。なんと衝撃的でロマンティックな演出だろう。そして2人のシルエット…。“愛の告白のようだ”とも云われた、その名シーンは、銀紙をパネルに貼り反射させるという手作りの中から生まれたというから当時の撮影事情を思う。
いま、毎年恒例のイベント「ウルトラマンフェスティバル2011」が池袋サンシャインシティ文化会館で開催されている。7月22日から開催され、8月2日までで入場者数が3万人を突破した。45周年を記念したウルトラマン全39話徹底検証コーナーが子供たちだけでなく父親母親世代からも好評で、家族全員で楽しめるイベントとなっている。特製3Dメガネで見る、恒例のウルトラライブステージも人気という。永遠のヒーロー、ウルトラたち。今夏も盛況のようです。
(戎 正治)