富士、コダックの映画用フィルムの値上げでデジタル化が加速
2011年07月15日
富士フイルムとコダックの両社が、映画用プリントフィルムの値上げを相次いで発表した。コダックは7月21日(木)受注分から10%、富士フイルムも8月1日(月)受注分から10%の値上げに踏み切ることになった。
映画用フィルムは、銀やポリエスターを原材料として生産されているが、その銀価格が昨年夏から高騰。それまで1キロ4~5万円で推移していた価格が9~12万円に急騰、燃料価格と併せて製造コストが大幅にアップし、アメリカやヨーロッパでは今年の4~5月に値上げをしており、日本でもこの夏に値上げに踏み切ることになったものだ。
この映画用フィルムの値上げにより、映画のデジタル化の流れは一層、加速するのではないか、と関係者は見ている。
現在の日本映画は、昨年あたりから約80%の作品がデジタルで撮影され、デジタル化が進行。劇場公開にあたりデジタルとフィルム上映が半々といった状況だったが、ソニーや牛尾電機、デジタルシネマ倶楽部の3社がデジタル機器を業界全体が導入するというVPF(バーチャル・プリント・フィー)システムを導入。ティ・ジョイは昨年夏までに全サイト・全スクリーンのデジタル化を完了したのをはじめ、TOHOシネマズも今秋、ワーナーマイカルやSMT(松竹マルチプレックスシアターズ)も積極的に推進しており、日本の全スクリーン数の約60%はデジタル化された。
配給会社もこの7月、香港に本社を持つ世界有数のデジタル・シネマソリューション・プロバイダーであるGDCテクノロジーと東宝、松竹、東映の3社が相次いでデジタルシステム利用契約を結んだ。今後もインディペンデントやメジャーなど契約が予定されており、興行・配給ともデジタル化の流れに拍車がかかりそうではある。
(代表取締役社長:指田 洋)