お昼の番組の視聴率争いにちょっと異変が起きている。目立って話題に上らないが、TBS「ひるおび」が、フジテレビ「笑っていいとも」を抜いて同時間帯トップに躍り出ることが幾度かあるのだ。最近では6月14日(火)の放送がそうだった。不妊症高齢出産の野田聖子議員を紹介するなどで7.2%を獲得している。しかも、その日はテレビ朝日「ワイド!スクランブル」が2位に食い込み、「笑っていいとも」は3位となる結果となった。翌15日(水)は「ひるおび」と「笑っていいとも」が同率トップに。もちろん、長いスパンの中で見れば時々のケース。とはいえ、気になる動きだろう。
というのも、このお昼の時間帯、TBSにとっては鬼門なのか、長きにわたり苦戦を強いられてきた。それが今年度に入り、4月19日に6.6%を獲得、「笑っていいとも」を上回り同時間帯トップとなった。なんと1987年以来、実に24年ぶりのことというから、TBS社内ではちょっと沸いたことだろう。その日以降、何度かトップを記録するのだから着実に芽が出始めたと言っていい。
大きな要因は、日本テレビがこの4月に番組を刷新したことが言える。中山秀征の「DON」を終了させて、南原清隆の新番組「ヒルナンデス」で勝負をかけた。「笑っていいとも」に対抗すべくバラエティ路線を打ち出したのだが、視聴率は「DON」の半分程度3~4%の推移にあって苦戦する。視聴者は流れて「ひるおび」に好影響をもたらしていると見られるが、TBSによると、今年1月末から2週間、「みのもんたの朝ズバッ」「はなまるマーケット」「ひるおび」この3つの情報番組を中心に展開した「ココロ元気week」が好評を博し、そのあたりから数字が上向いてきたという。視聴者と番組の絆を謳うハート・プロジェクトの内容が支持されたようだ。3月の大震災により視聴者の価値観に変化も見られ、春以降の数字に繋がっているのかもしれない。ちなみに「ひるおび」には、総選挙で3位に躍進したAKB48の柏木由紀が天気コーナーで登場している。
日本テレビは、安定した人気番組、朝の「ズームイン!! SUPER」をあえて終了させ、MC桝太一(日テレアナ)と関根麻里の「ZIP」をスタートさせたが、こちらも出足し苦戦する。このため朝帯はフジテレビ「めざましテレビ」の独走状態。日本テレビは朝も昼も裏目に出た格好だが、「ZIP」は、じわり上昇し始め、「ヒルナンデス」含め、ターゲットを意識し将来を見据えた戦略がこの先どう推移するかが見守られる。
TBSはこの6月20日から「ココロ元気week」第2弾を展開し「ひるおび」の定着を期待する。日テレも「ヒルナンデス」のテコ入れに着手。テレビ朝日も虎視眈々と上位を狙い、やや先行する「笑っていいとも」もパワーアップなるか。お昼の番組戦争も激しい火花が散っている。
(戎 正治)