前代未聞の役員人事
2011年06月09日
人事のこの時期。今年も社長交代が多くあったように思う。その多くは次代を睨んだ若返りだ。民放の社長交代は20社を超える。
日本テレビ、朝日放送、読売テレビ、IBC岩手放送、北海道テレビ、中国放送、信越放送、ミュージックバード、鹿児島放送、北陸放送、テレビ岩手、広島テレビ、福岡放送、福島中央テレビ、ラジオ関西、大阪放送、FMインターウェーブ、高知さんさんテレビ、ベイFM、テレビ埼玉、ZIP‐FM、テレビ愛知、等々。
一方、J:COM、スカパーJSAT、キッズステーション、日経CNBC、BBCワールドジャパン、スペースシャワーネットワーク、ファミリー劇場、囲碁将棋チャンネル、ザ・シネマ(新会社)は既に今春新社長が誕生し、GAORA、MUSIC ON!TVも交代する。制作会社ではC.A.L、テレパック、テレビ朝日映像などで新社長が決まった。
昨今は社長交代を4月に早める事業者も増え、TBSホールディングス、電通、スカパーJSATがそうだった。NHKは任期満了で1月に交代した。
体制が新しく生まれ変わろうとすれば、身を引く者がいるのは世の常だ。だが、ある大手グループの役員人事が目をひく。その会社の大株主出身の役員が続々と退任する。関連会社への異動を拒否して退任する者もいる。株主系役員の相次ぐ退任は異例だ。その株主にとっては前代未聞のことではないだろうか。政策が問われたこと等が大きく影響したようだが、もしかしたら株の一部か全てを売却し、一線から手を引くやもしれぬと思わせるほど、勢力図が一変した。そして、新体制の陣営は士気が上がる。既に新たな施策を講じて前進し始めている。試練の最中にあって、先行きの課題も山積するが、慎重に事を運んでいるようだ。関係者からは今後の展開が期待されている。
もう一つ、気になる情報を耳にした。ある大手のトップ人事の噂が流れた。なれば業界の注目の的となったであろうが、結局、先送りすることになったと聞く。バトンタッチのタイミングとして早計と判断されたように伝えられ、来年あたりが要チェックだろう。
さて、今度は現場クラスの動きが注視される。市況の低迷、東日本大震災、原発問題と、厳しい環境下、これから新体制がスタートする。
(戎 正治)