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山田監督『母と暮せば』、吉永小百合ら会見

【FREE】山田監督『母と暮せば』、吉永小百合ら会見

2014年12月19日
山田洋次監督(左)と吉永小百合 山田洋次監督(左)と吉永小百合

 既報(本紙12月18日付)の通り山田洋次監督最新作『母と暮せば』の製作発表記者会見が17日行われたが、登壇者のコメントは次のとおり。

山田洋次監督 
 これまでいくつもの作品を作って来ましたが、この歳にこの企画に巡り合うのは不思議な縁といいますか、運命の様なものを感じています。企画といいましても原作があるわけでもないですし、ストーリーがあるわけでもないです。井上ひさしさんには“命の3部作”と言われているヒロシマを舞台にした「父と暮せば」、オキナワを舞台にした「木の上の軍隊」があり、もう一つナガサキを舞台に書きたかったが、それを果たせずに亡くなりました。ナガサキを舞台にした作品のタイトルは「母と暮せば」まで決まっていたということを聞き、それを映画に出来ないかなと思ったわけです。

 作って欲しいと申し込まれたわけではないのですが、僕が出来るのではないかと言って、(井上さんの)娘さんと話しているうちに、全体の形が僕の中に浮かんできました。「父と暮せば」は、亡くなった亡霊の父と娘が語り合うという形をまねれば、母さんが生きていて息子が死んでいるという形になります。長崎医科大学は原爆の直撃の被害を受けて、教授・学生800人が死んでいる。その中に息子がいたと。息子がいれば当然恋人がいただろうと、そんなふうに考えている内に、俳優さんのイメージが浮かんできた。それは吉永小百合さんであり、二宮(和也)くん、黒木華さんであり、こうして実現することになり、僕は本当に幸運だなと思っています。生涯の一番大事な作品を作るという思いでいます。

 まだ準備の段階ですが、スタッフを含め一年をかけて準備しています。クランクインは先ですが、必ずやいいものに仕上げなければ井上先生に申し訳ないし、長崎の人々にも申し訳ないので頑張ってやり遂げようと思っています。

吉永小百合
 また山田組・山田学校に帰ってくることが出来て今とてもとても嬉しく思っています。二宮さんと親子ということですが、全国の二宮さんのファンから睨まれそうな気持ちですが、素敵な親子になりたいと思っています。井上先生が日本ペンクラブの会長をしていた時に、私に原爆詩の朗読をと依頼してくださいました。その時、山田組で『母べえ』の撮影をしなければならず両方は出来ないのでとお断りしたんですね。“わかりました。山田監督ですから、きっといい映画を作られるでしょう。期待しています”というお手紙をいただきました。一度もお会いしていないのですが、今日こういう形で井上ひさしさんの思いを映画に出来ることで、心が躍っています。しっかりといい作品にするために山田組の中で頑張りたいと思っています。

二宮和也
 すごく緊張しています。とにかく映画の中にいる人達が目の前に飛び出て来た感覚で、緊張しているんですが、ここに呼ばれた意義、これを自分に問い詰めながら監督の指導のもと吉永さんと一緒にやる呼吸を含め、随時対応していけるよう今からいろんなものを吸収して、それを財産に見ていただけるよう、全国の吉永さんファンに睨まれないように気を付けたいと思っています。

※記事は取材時の情報に基づいて執筆したもので、現在では異なる場合があります。