東映配給『サクラサク』の完成披露会見が27日、東映本社会議室で行われ、田中光敏監督、原作者のさだまさし、出演の緒形直人、南果歩、矢野聖人、美山加恋、藤竜也が出席した。
同作は、さだの父親との思い出をモチーフに書いた同名小説を映画化したもの。主人公の父親が認知症を発症したことをきっかけに、これまで避けてきた家族と向き合い、旅をする中で絆を取り戻していく姿を描く感動作だ。さだの小説はこれまでに『精霊流し』『解夏』『眉山』『アントキノイノチ』が映画化され、同作が5本目。今回は初めて映画用に主題歌「残春(ざんしゅん)」も書き下ろした。
田中監督とさだのタッグは、『精霊流し』(03年)に続いて2度目。撮影は昨年の10月にインし、約1週間の都内撮影を行った後は、長野県諏訪郡、福井県勝山市の地方ロケを、約2週間で一気に撮り切った。
製作プロダクションはクリエイターズユニオン、東映東京撮影所。製作委員会はクリエイターズユニオン、福井新聞社、美浜町、ぴあ、ローソンHMVエンタテイメント、電通、幻冬舎、ユーキャン。4月5日より全国ロードショー。なお、8月下旬に開催されるモントリオール世界映画祭のフォーカス・オン・ワールドシネマ部門への招待が決定した。
▼田中光敏監督の話 『精霊流し』の時に取材してもらった記者の方から4年後に、「『解夏』の中の一編である『サクラサク』には勇気をもらえるいい言葉がたくさん入っている」と手紙を頂き、ぜひ映画化したいとさださんに電話をした。さださんから「一緒にやろうよ」と言ってもらい、主題歌など力を貸して頂いたのはありがたい。
▼さだまさしの話 実は原作はあるTV局にお願いしていたが、まだ具体的には映画化に向けて動いていなかったので、返してもらって田中さんにお渡しした。(この映画で扱っている題材は)即座に命を奪われるようなものではないけれど、一人一人にとっては大きな問題。(この映画を見て)「どうにかなるよ」と思ってもらいたい。
▼緒形直人の話 田中監督とは(『火天の城』に続いて)2本目。素晴らしい、熱い現場で、良い緊張感の中でやらせてもらった。
▼南果歩の話 家族が目を見て話さなくなってから時間が経ってしまうと、日常の中で絆を取り戻すのは難しいが、この映画では旅をし、非日常的な環境に置かれることでお互いを見つめ合うことができている。
▼藤竜也の話 いい役をもらった。(認知症の役をやる)適齢期でしょ。こういう役を待っていた。