前作『風の外側』から6年。俳優・映画監督である奥田瑛二の5作目となる監督作『今日子と修一の場合』(製作:ゼロ・ピクチュアズ)が、今秋10月5日(土)より新宿ピカデリー他にて公開が決定した。
東日本大震災を背景に、懸命に人生を生き直そうともがく若い男女の姿を描き、監督の次女で女優の安藤サクラ、その夫で俳優の柄本佑が主演を務めている。『長い散歩』でモントリオール世界映画祭グランプリを受賞した奥田監督が、震災で心の拠り所をなくした二人の男女を通し、まだ癒えない日本の傷跡を生々しくさらしながらも、その再生を力強く謳った作品(134分)。他に、和田聰宏、カンニング竹山、宮崎美子、平田満が出演。プロデューサーは大日方教史。脚本も奥田監督。
2012年1月に宮城・南三陸町での復興会議に参加した奥田監督は、当初ボランティア活動で被災地を応援したいと考えていたという。しかし、津波被害に遭った志津川地区を訪れるうちに、「映画を撮ることが自分のできること」と本作の制作にとりかかった。映画内では、言葉を交わすことのない今日子と修一。かけがえのないものを失った二人は、これからの人生で自分は二度と幸せにはなれないと覚悟をするが、毎日毎日を生きるうちに徐々に幸せを、希望を望むようになる。被災者の協力を得て完成した本作には、どんな絶望も人を苦しめ続けることはできないという、奥田監督のメッセージが込められている。配給は彩プロ。
画像:(C)ZERO PICTURES