パル企画配給『爆心 長崎の空』(製作:パル企画+メディアファクトリー+日本スカイウェイ+長崎放送+長崎ケーブルメディア)の舞台挨拶付き完成披露試写会が14日、東京・東新橋のスペースFS汐留で行われ、日向寺太郎監督、出演の北乃きい、稲森いずみ、柳楽優弥、宮下順子が登壇した。
作品は、実写映画『火垂るの墓』(08年)で高い評価を受けた日向寺監督が、芥川賞作家で現・長崎原爆資料館館長の青来有一氏原作「爆心」(文春文庫刊/谷崎潤一郎賞、伊藤整文学賞)を映画化したもの。6つの作品からなる連作短編小説をもとに、母を亡くした子と、子を亡くした母の二人の物語を1本の糸を紡ぐように構成し、キリスト信仰が根ざす被爆地・長崎に暮す人々のごく当たり前だけどかけがえのない暮らしに差し込む一筋の希望を描く感動の物語(98分)。
音楽は、日本を代表するジャズピアニスト・小曽根真で、本作で初めて映画音楽を担当した。主題歌「ひまわり」(ユニバーサル ミュージック)は、ソウルシンガー・小柳ゆきが同様に初めて映画のために詞を書き下ろし歌う。脚本は原田裕文。題字は金子兜太。そして、母を亡くした主人公・清水を北乃きい、幼い娘を亡くした母・砂織を稲森いずみが演じた他、柳楽優弥、杉本哲太、佐野史郎、宮下順子、池脇千鶴、石橋蓮司らが共演。さらに、北条隆博、渡辺美奈代が出演している。
7月13日(土)~19日(金)まで岩波ホールでプレミア特別上映、7月20日(土)より東劇他にて全国公開。なお、舞台挨拶には小柳も登壇し、主題歌を披露した。
▼日向寺監督 2010年から企画が動き始めたが、6つの短編が原作で脚本作りに時間がかかってしまった。そして、東日本大震災が起こり、3・11以降に作るべき映画とはどういうものか考えながら作った。長崎の人は優しいと言われるが、キリシタンの歴史、港町、被爆地といった“土地の記憶”から優しさが生まれているのではないかと思った。そこから作り出した物語は「人を信じる」ということ。3・11以降の私たちの物語になっていると思う。
▼北乃きい 被爆三世の役だが、清水自身は意識せずに普通に真っ直ぐに生きてきた大学3年生。でも、普通を演じることの難しさがあった。とても淡々としたテンポの物語だが、凄くリアルで、ドキュメンタリーを見ているような感覚になった。
▼稲森いずみ 私も“普通”の難しさを感じた。幼い娘を亡くしてから鬱になっていく精神状態とはどういうものか、悩み、考えて演じた。
▼柳楽優弥 戦争によって出来た傷跡を僕ら世代も忘れてはいけないと思った。
▼宮下順子 テーマは大変重いが、被爆した人もいろいろな人たちに助けられて生きてきたのだとわかった。