日活配給・宣伝『私の男』が、1月20日に北海道でクランクインし、紋別、ウトロでの冬の撮影を2月2日に終了。この後、春のシーンおよび東京での撮影を4月に行う。
同作は、第138回(2008年)直木賞受賞作品、単行本・文庫累計40万部を誇る桜庭一樹の同名小説を、『海炭市叙景』で全世界から注目を集めている熊切和嘉監督のもと映画化するもの。2011年に、韓国・釜山国際映画祭で開催されたアジア最大の企画マーケット・APM(Asian Project Market)で最優秀企画賞を受賞した。撮影の際、熊切監督はシーン別に16mm、35mm、デジタルと撮影機材を使い分け、ドラマと北海道の雄大な自然を余すことなく捉えるべく指揮を執っている。2013年完成予定。2014年に全国ロードショー。
▼熊切和嘉監督のコメント
▽原作を読んですぐに「これは自分が映画化すべきだ」と直感的に思いました。原作が醸し出しているムード、それから強烈な部分に踏み込んでいるところ、それと自分も北海道の人間なので、北の地の描写には強く惹かれました。タブーに挑む作品なので、クランクインが決定するまでには色々あって、かなり時間がかかりました。
▽(映像化するにあたり心掛けていることは)何より「逃げない」ことです。この作品が公開されて、世間から叩かれ、監督生命が終わっても悔いはありません。それぐらいの覚悟を持って挑んでいます。
▽(原作の魅力は)社会的には許されない関係を、そうならざるを得なかった二人として、丁寧に検証しながら、最終的に肯定して描いているところです。僕は素直に共感できました。
▽(紋別、ウトロでの流氷撮影は)なにぶん今まで流氷の上で芝居を撮影したなんて話は聞いたことがないので、僕らも想像で作戦は立てられても確証がないまま撮影に入るしかありませんでした。それでも映画はワンカットワンカットの積み重ねです。とにかくスタッフ、キャスト一丸となって、一つ一つ撮り進め、何とか撮りきったという感じです。
▼桜庭一樹氏(原作者)のコメント
▽(映画化が決定した時は)もともととても好きだった監督の名前があり、嬉しかったです。
▽(脚本は)あっ、なるほどこう料理するのかと感服しました。真冬の海で流氷の上に少女と老人が立つという、ひときわ緊迫感があるだろうシーンの撮影を見学させて頂きましたが、見ているだけでも緊張し、冷汗が出ました。