東映配給『草原の椅子』(製作プロダクション:東映東京撮影所)の完成披露試写会が6日、東京国際フォーラム Aホールで開催され、成島出監督、出演の佐藤浩市、西村雅彦、吉瀬美智子、小池栄子、黒木華が舞台挨拶を行った。
同作は、芥川賞作家の宮本輝が「喪失」と「再生」をテーマに綴った同名小説を映画化したもの。50歳で親友になった男2人と、つらい過去を胸に秘め陶器店を営む女性、そして育児放棄で心を閉ざした4歳の少年が出会い、世界最後の桃源郷と言われるパキスタンのフンザへの旅で、新たな一歩を踏み出していく生き生きとした姿が映し出されていく。フンザでは、日本映画初の本格的な長期ロケを敢行した。
主題歌はGLAYの「真昼の月の静けさに」。完成披露試写会ではGLAYのメンバーも登場し、主題歌を披露した後、監督・出演者とともに舞台挨拶に参加した。
エグゼクティブ・プロデューサーは原正人氏。製作委員会は東映、木下工務店、ティー ワイ リミテッド、ホウショウ、東映ビデオ、テレビ朝日、プレジデント社、フィールズ、キングレコード、読売新聞社、博報堂、博報堂DYメディアパートナーズ、北日本新聞社、エース・プロダクション。2月23日(土)より全国ロードショー。
▼成島出監督の話 (パキスタンの若き女性人権運動家で武装勢力から銃撃を受けた)マララさんのニュースを昨日見たが、女性が教育を受けられる世の中にしたいという彼女の意志に感動した。事件が起きた場所は、パキスタンロケを行った所と近いが、 “人のために” というのはこの映画のテーマと同じ。主人公はスーパーヒーローではないが、人をほっておけない人達。人の繋がりを大切することが、撮影を進める中でチーム全体にも広まっていった。
▼佐藤浩市の話 等身大の人物に見えるよう心掛けた。人が一生懸命に生きるさまは滑稽に見えるが、その可笑しみを(この映画で)楽しんでほしい。一生懸命に生きるのは大変でも、人生を捨てるのはもったいない。一歩踏み出すことの大切さを、押しつけがましく表現できたと思う。
▼西村雅彦の話 フンザは世界最後の桃源郷と言われているが、まさにその通りで居心地の良い、自然に抱かれているような感じになった。
▼吉瀬美智子の話 フンザは砂漠と雪山が一緒に見られる珍しい場所で、それが大きなスクリーンで観られる。日頃悩んでいることがちっぽけに思えて、心が穏やかになる場所だった。