1909年創業の建築資材メーカー「ミカミ工業」(大阪)の元社長、三上康雄氏が製作・プロデュース・脚本・監督を務める映画『蠢動‐しゅんどう‐』(製作:三上康雄事務所/配給:太秦)の製作発表記者会見が15日、東京・港区の明治記念館で行われ、三上監督、出演の脇崎智史、平岳大、若林豪、目黒祐樹、さとう珠緒が出席した。
同作は、三上監督が33年前に製作した自主映画初の16mm時代劇『蠢動』をリメイクするもの。『切腹』や『上意討ち 拝領妻始末』などの時代劇に大きな影響を受けたという監督が、自己資金とすべてを費やし製作する。11年に自社「ミカミ工業」の全株式をM&Aで売却し、製作会社「三上康雄事務所」を設立、同作の製作にとりかかった。
スケジュールは、1月17日に三重の伊賀でクランクイン。その後、滋賀の比叡山、京都の美山・大原など、オールロケで撮影する。ラスト40分間は雪中での「走る!」「斬る!」の殺陣になる予定。近年、2月上旬に雪が積もる鳥取砂丘で撮影を行う運びだ。
海外映画祭への出品を目指しており、その結果次第で公開時期を固めていく方針だが、現時点では今年10~11月頃、全国30~50館で公開する予定だ。配給は太秦。
▼三上康雄監督の話 『切腹』『上意討ち 拝領妻始末』等、オーソドックスな昭和の時代劇が好きだが、最近はそういう時代劇がなく、自分で作るしかないと思った。最近の殺陣はカット割りが多く、どこまでが本物でどこからが作り物かわからない。『蠢動』では本物の斬り合いを見せたいと思い、1分間の長回しシーンも撮る予定。『切腹』は2者の対立を描くが、『蠢動』は何人もの「正義」を描き、膨らませていった。後半は走る斬るの活劇となり、この映画を人に説明する時は「走る『切腹』です」と言っている。
▼脇崎智史の話 何本かの時代劇に出演したが、ここまで本格的なものは初めて。監督からは「綺麗な殺陣ではない。相手をねじ伏せるためには何でもする」という精神を教わっている。雪の中での撮影は過酷だと思うが、ケガのないように頑張りたい。
▼平岳大の話 脚本は、久々に最後まで早く読みたいと思えるものだった。『一命』や『のぼうの城』などの時代劇に出演したが、実はあまり殺陣のシーンがなかったので、今回は(アクションも)頑張る。
(写真は、左より脇崎、平、若林、目黒、さとう、三上監督)
※なお、同作の詳細は「月刊文化通信ジャーナル2月号」に掲載予定。