第144回芥川賞受賞作「苦役列車」(西村賢太著)の映画化が早くも決定した。11月25日よりクランクインし、2012年以降公開予定。配給は東映。
原作は、彼女なし・友人なし、日雇い労働で生計を立てる中卒19歳の若者を描く同名小説。著者の西村は、芥川賞受賞式での「(一報を受けたとき)そろそろ風俗に行こうかなと思ってた…」という発言が話題になった個性派作家。本作は、西村の自伝的小説とも言われている。
メガホンをとるのは「天然コケッコー」で第32回報知映画賞・最優秀監督賞の最年少受賞を果たし、今年公開の最新作「マイ・バック・ページ」で高い評価を得たことも記憶に新しい山下敦弘監督。西村は、「この小説には、大向こう受けする要素が一切ない。多彩な登場人物もなければ、起伏に富んだストーリーもない。一人の落伍者の内面描写が眼目だから、いわば活字でしか成立し得ない世界だ。しかし、これを異能な山下敦弘氏が手がけられると聞き、その映像化への危惧は霧散した。すべてを委ねた上で、客観的に完成を待ちたい」とコメントしている。
主人公・貫多を演じるのは、「世界の中心で、愛をさけぶ」「モテキ」といった映画や舞台などで活躍する森山未來。森山は本作の出演依頼を受け、「台本を読んだときに『モテキ』に続いて、またダメな男の役をやるんだ。と(笑) 山下さんとはぜひ一緒にやりたいけど、ストレートに『やります!』とは言えませんでしたね」と当時の心境を語っている。しかし、出演について飲み屋で考えていた時、山下監督作品の常連である山下浩司、新井浩文と偶然出会い、「その瞬間、これは啓示かも?と思い、2011年はこのダメ男で締めくくることにしました(笑)」としている。主人公の貫多については「身近にいたらめんどくさいし、絶対友達にはなりたくないタイプかもしれませんが、生命力があって、たくましく感じます」と印象を語っている。
共演は「白夜行」「軽蔑」の若手演技派・高良健吾。高良は「今回は、好きな監督だからって、考えすぎず、もういっぱい考えたんで、自分のしたいことをしよう。監督に嫌われてもいいくらいのつもりで。(笑)と思っています。森山さんのこと大好きなので、緊張しています。今回がっつり共演するのは初めてなので、足を引っ張らないように、しょっぱいかんじになんないように、がんばります」とコメント。